エンジニアとして電子顕微鏡の品質向上に貢献
半導体製造装置や分析装置、電子顕微鏡、医用機器などの製造を行っている株式会社日立ハイテク。エンジニアとして働く電気・電子工学専攻卒業生の名和遼祐さんは、学生時代にデバイスマテリアルズ研究室で学んだ専門知識が今の仕事にも活かされているといいます。そんな名和さんに、学生時代の学びと今の仕事のやりがいについてお聞きしました。
Q1. 株式会社日立ハイテクではどのようなお仕事をされていますか?
私は測長SEM(Scanning Electron Microscope)という製品に設計として携わっています。SEMは電子顕微鏡の一種で、日本語では走査電子顕微鏡といいます。測長SEMは半導体上に形成された微細パターンを計測する装置で、見たいもの(試料)に電子を当てて、その時に得られる情報から画像を取得します。私はそのSEMの電子回路の設計を行っており、日々より良い製品となるような実験を行っています。
弊社の回路の設計は、装置に対する深い理解が必要なため、回路設計だけでなく装置を使った実験も多いのが特徴です。装置に対する知見を深めるだけでなく、わからないことを解決する問題解決力も養われていると感じています。
Q2. 現在の職業を選んだ理由は?
エンジニアになりたかったからです。学生時代に研究室でもSEMを使っており、馴染みのあった装置ともう少し関わってみたいと思ったのが一番大きい理由です。
また、卒業生訪問も会社を選ぶ決め手となりました。研究室の先輩が卒業生訪問に来てくださり、そこで話した内容や仕事への思いなどを聞いたことで会社についてより深く調べるきっかけになりました。
Q3. 仕事のやりがいや魅力は?
回路設計はもちろん、実際の装置を使った実験や、簡単なプログラミングも行うなど、さまざまな業務を経験できることです。ひとつのことに捉われない多面的な思考力が養われている実感があります。
Q4. 現在の仕事で必要と感じているスキルや能力は?
回路に関する知識はもちろん必要ですが、ほかにもさまざまな仕事が密接に関わって成り立っているため、電磁気学・材料の物性の知識やプログラミングの知識なども必要になります。
Q5. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?
私が所属していたデバイスマテリアルズ研究室では、半導体の製造プロセスを実際に経験しました。大学の研究で半導体の製造プロセスにしっかり触れることができたのは、とても貴重な体験だったと思います。一般的に半導体の研究室では半導体の成膜・評価がメインで、製造プロセスについては少し触れる程度です。そのプロセスをしっかり学んだことで、半導体を作る難しさやプロセスを評価する装置に対する興味が養われました。
仕事でも、弊社の測長SEMが半導体の製造プロセスに対して影響を与えていないかどうかも重要な評価項目として挙げられるため、学生時代に学んだ専門知識が活かされていると感じています。
Q6. 他にも活かされていると思うことがあれば教えてください。
学生時代に、光通信研究会という学会の幹事を務めました。この研究会は夏休みの間3日間泊りがけで開催され、東京工業大をはじめとする多くの大学から150人弱が集まる学会です。私は幹事として、開催場所の方との打ち合わせや、スケジュールの立案、学会費の集金、要旨集の作成、招待講演の準備、夜の飲み会の準備など多岐に渡る仕事を担当しました。
数か月前から研究室のメンバーに担当を振り分けたり、私が考えた内容に対して各担当から改善要望を受けて折衷案を提示したりと、さまざまな場面で調整能力が身についたと感じています。さまざまな人の意見をまとめ、それをアウトプットする力も養われました。
Q7. 工学院大学を卒業してよかったと思うことは?
回路設計やプログラミングなど専門知識に関する授業はもちろんですが、研究室での活動を通じて実験を行う心構えを学ぶことができました。また、ゼミでの発表や論文等をまとめた経験から、プレゼンテーション能力も身についたと感じています。
また環境の面でも、敷地が広く、勉強に集中できる空間が整っているのも工学院大学の魅力です。学生も「みんなで力を合わせてやろう」という団結力と意気込みがある人が多かったと思います。
Q8. 就職活動のときに意識したことは?
意識したことは数多くありますが、ブレない軸を持つことを第一に考えました。例えば、志望動機とその他の部分で言っていることが違っていたり、+αで質問された内容で齟齬があったりすると、相手に無駄な猜疑心を抱かせてしまいます。そうならないよう、話すことやエントリーシートに書いてあることを何度も見直し、自分の中での軸をしっかり整理するように意識していました。
Q9. 後輩たちへアドバイスをお願いします!
「相手に分かりやすく伝えることを意識して話すこと」「『ヤバい』などの汎用的な言葉をあえて使わず、語彙を増やす意識をすること」のふたつを意識しました。
ひとつめは面接や文章をまとめる際だけではなく、日常的に意識したポイントです。同じ内容でも相手に伝わっているかどうかが、就職活動では大切になります。
ふたつめは、面接などの場に適した表現を使うことで、言葉に説得力を持たせることができます。むやみに難しい言葉を使うのは得策ではありませんが、相手に合わせた言葉選びを日頃から意識するのがよいと思います。
訓練自体は簡単にできますが、とても難しいことなので、少しずつ頑張ってください。相手にわかりやすく伝えることで、自分の長所やアピールポイントも評価してもらえるはずです。
工学院大学は、134年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。
次回の卒業生インタビューもお楽しみに!
先進工学部 卒業生インタビュー
先進工学部 就職活動体験記