長寿命かつ安全性の高い「全固体電池」の製品化に挑む
マクセル株式会社で、硫化物系固体電解質を用いた世界初の「全固体電池」の製品化に挑んでいる松岡尚輝さん。長寿命かつ安全性の高い全固体電池は、次世代の社会に求められている重要な製品です。大学時代から一貫して固体電解質の研究に取り組んできた松岡さんに、今のお仕事のやりがいや大学時代の経験などについてお聞きしました。
Q1.マクセル株式会社ではどのようなお仕事をされていますか?
安全で長寿命な次世代電池として社会から注目を浴びている「全固体電池」の設計を行っています。全固体電池は、今の社会で主流になっている液系リチウムイオン電池に比べて破裂・発火の恐れがなく、安全性や寿命の面で優れています。
現在は製品仕様の決定のための電池設計、評価の取りまとめを行っています。サプライヤーや社内他部署の多くの方々と連携をとり、製品化に向けて失敗のない量産体制の構築をめざしています。
Q2. 仕事のやりがいや魅力は?
硫化物系の固体電解質を用いた全固体電池の製品化は世界でも実例がないため、わからないことが多いのも現状です。逆に言えば、それだけ世界から求められている製品だということ。実験を進めながら少しずつ謎を解明し、開発を進めていくことにやりがいを感じます。入社してからずっと携わっている開発品が量産化に向けて一歩ずつ近づいていることに大きな喜びを感じています。
Q3. 現在の職業を選んだ理由は?
大学時代は固体電解質材料の研究を行っていました。就職先では材料開発だけでなく、電池設計を行いたいと思い現在の職業を選びました。マクセル株式会社を知ったのは、大学院生の時に参加した学内企業セミナーがきっかけです。工学院大学を卒業した先輩社員の方にお話を聞いたことで、マクセルで働くイメージが持て、入社を決めました。
Q4.今の仕事をするうえで大変なことや、意識していることは?
全固体電池は、世の中の主流である液系電池とはまったくの別物です。マクセルとしても完全な新製品となるため、仕様決定には苦労を重ねています。
そのため、開発途中で出てくるさまざまな課題に対してはひとりで悩むのではなく、定例会で相談したり、他部署も巻き込んだチームを発足したりして、全員で早期解決をめざすよう意識しています。
Q5. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?
大学時代に学んだ化学や材料分野の基礎知識は今の仕事にも大いに役立っています。また、工学院大学は実験重視のカリキュラムだったので、分析装置の使い方や実験レポートの執筆方法など、現在の仕事に活かされているスキルも多いです。大学時代の研究を通じて、PDCAサイクルの考え方も身につけることができました。
学業面以外では、学園祭・オープンキャンパス等の実行委員活動を通じ、チームで協力してプロジェクトを進める力も身につきました。積極的にこのような課外活動に取り組んだ経験も、今の仕事に活きています。
Q6. 工学院大学を卒業してよかったと思うことは?
勉強面はもちろんのこと、工学院大学にはいろいろなことに挑戦し、さまざまな経験ができる環境が整っています。学内で公募していたプロジェクトに積極的に参加したことで、学内外の方々との人脈もできました。学内の研究環境も充実しており、興味のあることをとことん突き詰められる大学だと感じています。
Q7. 就職活動のときに意識したことは?
もともと高校生のころから環境・エネルギーに関わる仕事がしたいと考えていたので、その思いを軸に就職活動を進めました。実際に企業の選考がはじまってからは、就職支援課の方に相談に乗ってもらいながら、企業側に魅力的だと思ってもらえる自分の価値のプレゼン方法を意識しました。
Q8. 今後の夢や展望を教えてください。
まずは、入社から一貫して携わっている全固体電池の製品化が目標です。製品化された後はマーケティングを学び、全固体電池をより広く社会に普及させるような仕事がしたいと考えています。
工学院大学は、135年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。
次回の卒業生インタビューもお楽しみに!
先進工学部 卒業生インタビュー
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