通信ネットワークを支える“置局設計”の仕事
電話やメールで連絡をしたり、インターネットやSNSにアクセスしたり、家電や車などのプロダクトとつながったり……さまざまなシーンで私たちの暮らしに欠かせない携帯電話のネットワーク。ドコモグループの株式会社ドコモCS 入社3年目の小俣澄夏さんは、電波を発信する基地局の置局設計業務と日々向き合っています。「社会インフラである携帯電話のネットワークを支える仕事に携わりたい」と話す小俣さんに、仕事のやりがいや大学時代の思い出について伺いました。
Q1.株式会社ドコモCSではどのようなお仕事をされていますか?
入社1〜2年目は多摩支店ネットワーク部で、主に東京23区外のエリア基地局の保守・保全などを担当していました。今年からは無線アクセスネットワーク部で、基地局の置局設計業務をしています。具体的には、「どの場所にどのような装置構成の基地局を置けば、より良い通信エリアが作れるのか」を考え、設計する仕事です。住宅に喩えるとわかりやすいと思いますが、まず家を建てる場所を決め、その土地に合わせて家の大きさや内装を選んでいくようなイメージです。場所によってビルが多かったり、山があったりと環境が異なるので、最適な基地局はさまざま。現地に足を運んだり、航空写真で調べたりしながら置局設計をしています。また、最近では5Gに対応するために既存の基地局を改修することも多いです。
Q2. 現在の職業を選んだ理由は?
社会インフラである携帯電話のネットワークを支える仕事に携わりたいと思い、今の仕事を選びました。大学進学時に情報通信工学科を選んだのも、通信という分野が自分にとって身近だったからです。在学中に所属していたアクセスネットワーク研究室では、ハワイやマレーシアで行われた学会で発表する機会も豊富で、「IEEE VTS Tokyo Chapter 2019 Young Researcher's Encouragement Award」などを受賞することができ、大きな自信につながりました。そして、自分の研究を深めるほどに「この分野で社会の役に立ちたい」という思いが強くなりました。
Q3.通信系の企業のなかから株式会社ドコモCSに入社した理由を教えてください。
社会インフラに関わりたいと考えていたので、地方自治体や通信キャリアなどを検討していました。ドコモCSを志望したきっかけは、研究室のゼミの時間で会社説明会に参加し、工学院大学の卒業生から直接お話を伺えたことです。そのときは、2名の先輩社員が来てくださったのですが、社風や仕事の内容はもちろん、有給休暇や転勤など、さまざまな事柄について親身に教えてもらう貴重な経験でした。また、卒業生が活躍していることで、会社への親近感が生まれました。このときの先輩に、入社するまでにもいろいろとサポートしていただけたことも、とてもありがたかったです。
Q4. 仕事のやりがいや魅力は?
自分が置局設計した基地局が、実際に完成したところを見ると達成感があります。実際にお客さまから「今日の○時○分から急に電波が良くなった!」という具体的な言葉をいただいたこともあり、「それは私が手がけた仕事だ!」と本当にうれしかったです。また、通信は災害時にも大切なインフラなので、基地局の設計でも災害対策にはとても力を入れています。社会の役に立つ仕事に関わっていることもやりがいにつながっています。
Q5. 現在の仕事で必要と感じているスキルや能力は?
特別な知識や能力は必要ないと思っていますが、日々新しいことを学ぶ貪欲な姿勢は大切だと考えています。通信の分野では、新しい技術やテクノロジーが次々と生まれているので、知識を絶えずアップデートする必要があります。これは入社して驚いたことのひとつなのですが、周囲には新たな知識を学ぶ人が本当に多いです。研修や勉強会も頻繁にあり、さまざまな技術に関する資料もたくさん蔵書されています。そのような環境で知識を蓄積していけることは、自分の成長を実感できる喜びにつながっています。
Q6.新たなことを学び続けるために、モチベーションをどのように保っていますか?
私自身、勉強することが得意というわけではないのですが、若手だからこそいち早く新しい技術を学びたいという気持ちがあります。そんなときに「この知識をみんなに共有しよう」と考えると、勉強に付加価値が付いて一歩進めるような気がします。また「わかりやすく伝える」ことを意識すると、より深い学びが得られると思います。
Q7. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?
ゼミや学会でたくさんのプレゼンを行った経験は、仕事でも大きく役立っています。私が所属していたアクセスネットワーク研究室は、論理の組み立て方や資料の作り方などをしっかりと教えてもらえる環境でした。もちろん最初は多くの人の前でプレゼンをするのが決して得意ではありませんでしたが、教授にアドバイスをもらったり、先輩の上手なプレゼンを真似してみたり、発表での失敗から学んだり……。プレゼンの機会を重ねる度に、人前に立って話すことが楽しくなりました。今の仕事でも、資料を作ったり、自分の取り組みを発表する機会が多いので、そんな時に学生時代の経験が生かされていると感じます。
Q8.学生時代に受講していて役立った授業はありますか?
正確な授業の名前を覚えていないのですが、いくつかの指定されている授業を受けると、申請するだけで「第一級陸上特殊無線技士」の資格が取得できる授業がありました。基本的に「第一級陸上特殊無線技士」でないと無線機器を触ることはできないのですが、私は入社時にすでに資格を持っていたので、その意味では“即戦力”として業務に携わることができました。
Q9. 工学院大学を卒業してよかったと思うことは?
学生時代に学んだことが実際の業務でも役立っていること、国内外問わずたくさんの学会に参加できたこと、研究室や自治会でたくさんの仲間ができたこと……など、良かった点がたくさんあります。また、先生との距離感の近さも、私にとって工学院大学の魅力です。研究の話や就職の悩み、エントリーシートの書き方など、在学中はいろいろな相談を教授にしましたが、いつも真摯に向き合ってくれたことが印象に残っています。
Q10. 後輩たちへアドバイスをお願いします!
研究や勉強、委員会活動、趣味、留学、旅行……。なんでも良いので新しいことに挑戦してみることが大切だと思います。私の場合、大学1年生の時にハイブリッド留学で2ヶ月間アメリカのシアトルに留学し、大学4年生の春休みでも3週間シアトルでホームステイをしたことが、自分なりの挑戦でした。異なる文化に飛び込んだアメリカでの時間は「自分はこれまでなんて小さな世界で生きてきたのだろう」と思えた貴重な経験に。同時に、日本の良さについても見直すことができました。きっと新しい発見があるので、ぜひみなさんもなにか新しいことにチャレンジしてみてください!
工学院大学は、135年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。
次回の卒業生インタビューもお楽しみに!
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