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生活に不可欠な鉄道インフラを支える、縁の下の力持ち #卒業生インタビュー

 工学院大学の学生にはお馴染みの京王線などの路線を運行する京王電鉄株式会社で車両の点検・修理を行う検車区に所属する林知佳さん。女性の少ない職場ですが、電車の安全な走行を支えるチームの一員として奮闘しています。現在の仕事を選んだ理由や業務内容、大学時代のことなどについて伺いました。

京王電鉄株式会社 鉄道事業本部 車両電気部
林知佳さん

入社4年目/工学部機械工学科卒業 スポーツ流体研究室/趣味:おいしいご飯を食べに行くこと
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.これまでのキャリアについて教えてください。

 入社してから1年間ほどは、新入社員実習として駅係員や車掌などを経験しました。実習や研修で車掌まで経験させる鉄道事業者は多くはないようですが、鉄道の最前線を知る貴重な経験になりました。その後、車両電気部若葉台検車区で車両の点検・整備業務に携わったのち、同検車区の事務所に異動になり、現在に至ります。

Q2.現在のお仕事内容について教えてください。

 検車区の事務所で、車両の故障・修理対応やメーカーとの合同試験などを行っています。装置ごとに担当が決まっており、私は主に自動列車制御装置(ATC)と空調装置を担当しています。ATCは、すべての車両に設置されている、電車の安全な走行に不可欠な装置です。担当する装置に不具合や故障が発生した際は、現場掛員に部品交換やデータ採取の指示を出し、上がってきたデータを検証して原因を探ります。場合によっては、メーカーに相談して処置法を決めることもあります。また、サービス向上やコスト効率向上を目的としてメーカーと協働して試験を行っており、例えば空調装置のフィルターの性能試験を実施しています。

Q3.現在の勤め先や職種を選んだ理由をお聞かせください。

 親の仕事の関係で幼い頃から飛行機に乗る機会が多かったためか、漠然と公共交通機関で働きたいという思いを抱いていました。そして、東日本大震災の際に、夜通しで復旧工事に奮闘する鉄道会社の方々の姿を見て、さらに憧れが強まりました。私たちの就職活動の年は、コロナ禍で航空会社の採用がほとんどない状況だったこともあって鉄道会社に絞り込み、日々の安全な運行を陰ながら支える車両・電気系の仕事に魅力を感じ、選びました。京王電鉄に決めたのは、長く沿線に暮らしていて、親しみがあったから。5日間にわたって行われたインターンシップに参加した際に、和気藹々とした雰囲気がありつつオン・オフの切り替えがしっかりしていて自分に合っていると感じたことが、最終的な決め手になりました。

Q4.仕事の魅力ややりがいについて教えてください。

 生活に不可欠な鉄道インフラの縁の下の力持ちとして、お客様の「あたり前」を支えていることにやりがいを感じています。また、技術系の仕事は一人で黙々と作業をするイメージがあるかもしれませんが、実際はチームのメンバーやメーカーの担当者などいろんな人と関わりながら仕事をしていて、私はそこにも楽しさを感じています。職場はわからないことがあってもすぐに聞ける雰囲気で、担当制ではありつつもみんなで助け合いながら仕事を進めていて、とても働きやすいです。

Q5.現在の職種には、どのような知識、能力、心構えが必要だと感じていますか?

 心構えとして、「大丈夫だろう」で作業を進めないこと、わからないことを放置しないこと、挨拶やお礼など人としての礼儀を大事にすることの3点を常に意識しています。私はプライベートでは割と「大丈夫だろう」と楽観視するタイプなのですが、仕事においてはそれが人命に関わるような大きなミスにつながることもあり得ます。なので、少しでも不安要素があれば、先輩や上司に確認するようにしています。また、わからないことがあるときやミスをしてしまったときにも、隠さず謙虚に報告して、判断を仰ぐようにしています。

Q6.現在の仕事で大変なのはどんなところで、それをどう乗り越えていますか?

 鉄道では、人身事故や機器の不具合・故障といったアクシデントが比較的頻繁に起こります。不具合や故障があったときに、経験値の浅い私は、原因を特定したり何をすべきかを判断したりが即座にできず、そこは苦労しています。今は、周囲の先輩方に助けてもらいながら、経験値を積んでいます。また、休日には友人と食事に行ったりして、リフレッシュしています。カレーが好きで、食べ歩いておいしいお店を見つけるのが楽しみです。

Q7.学生時代のどのような学びや経験が、今の仕事に活きていますか?

 卒業論文の研究を通して身についた忍耐力です。研究でなかなか思うような結果が出ず、研究室に通い詰めて実験をしたり論文を書いたりしていました。気持ちが折れそうになることもありましたが、あきらめずに最後までやり遂げました。今の仕事では、調べても故障や不具合の原因が掴めないことがあり、粘り強く追求するうえで、この忍耐力が活きていると感じます。学生時代には、研究に限らず、何かを最後までやり遂げる経験を積むと良いと思います。

試行錯誤しながら、実験に使用するマスキングテープを切り刻んだ写真
学位授与式での研究室メンバー集合写真

Q8.就職活動において、意識したことや苦労したことはありますか?

 覚える内容が多いほど面接本番で焦ってしまう性格だったので、答える内容を全部覚えるのではなく、一番伝えたい要点だけに絞って覚えるようにしていました。大学の就職支援センターには、エントリーシートの添削や面接練習でお世話になりました。特にエントリーシートは自分本位の文章になりがちなので、客観的な視点から添削してもらえたのはありがたかったです。面接は本当に苦手だったのですが、「思っている以上に面接官はあなたの話を聞いてくれるから大丈夫。緊張して当然。ちゃんと伝えようとする思いがあれば伝わる」という言葉に励まされ、乗り越えることができました。

Q9.今後の夢や展望をお聞かせください。

 鉄道会社では、人員不足や人件費の課題を解決するために、ワンマン運転や自動運転がトレンドになりつつあります。ゆくゆくはこうした課題に車両の技術面からアプローチできるようになりたいです。
 
また、車両電気部には女性社員がまだまだ少ないため、就職活動時や入社時に不安を抱えている方もいるかもしれないので、後輩社員のロールモデルとなれるよう仕事とプライベートの両立に取り組んでいきたいです。

在学時を振り返って……工学部 平塚 将起准教授から一言💡
林さんは、研究室では表面微細加工による熱エネルギーの輸送効率向上を目的とした研究に取り組んでいました。根気のいる細かい作業が必要な研究でしたが、林さんは丁寧かつ粘り強く装置を作成し、コロナ禍の限られた時間のなかで計画的に測定を進め、研究を着実に進めてくれました。また結果が専門外の人にも伝わりやすいよう、図や表現を工夫したよく考えられた発表をしていたことが印象に残っています。 先日も研究室のイベントに顔を出してくださり、近況を聞かせてもらえたことを嬉しく思っています。持ち前の行動力や丁寧で誠実な姿勢は、林さんのこれからの更なるご活躍につながるものと期待しています!

工学院大学は、136年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!


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