安心な社会を支える企業のwebシステムを構築
防犯や警備などのセキュリティ事業から、防災や災害支援サービス、医療や保険など、さまざまな事業で社会の“安心”と“安全”を支えるセコムグループ。数千人規模の人々が働く同グループの社内Webシステムの構築を手掛けるのが、入社6年目の岩田有紗さんです。ものづくりへの興味と好奇心からITの世界を志し、大学在学中に「ユーザーの要望に寄り添うWebシステムを丁寧に作りたい」という思いから社内SEへの道を選んだ岩田さんに、現在のお仕事の内容や学生時代の過ごし方についてお話を聞きました。
Q1. セコムトラストシステムズ株式会社ではどのようなお仕事をされていますか?
Webエンジニアとして、セコムグループ内で利用されるWebシステム開発を行っています。使用する言語は主にc#.netやjavaで、サイトの設計からフロントエンドの開発、バックエンドのシステム構築まで、社内SEとしてWebシステム開発の上流工程から下流工程まですべてに対応しています。これまで関わったプロジェクトは、数日間で全工程が終わるものから、数ヶ月以上かかる案件までさまざま。2021年4月にはグループのポータルサイトのリニューアルも行いました。
Q2. 現在の職業を選んだ理由は?
IT業界に興味を持ったきっかけは、高校時代に隣の学科の生徒がプログラミングの基礎を学んでいる様子を見て「面白そうだな」と感じたことです。もともとものづくりが好きだったこともあり、コードを書くとプログラムが動く仕組みを“魔術”のように感じました。当時は無知でしたが、好奇心が刺激されたことを覚えています。そんな経験もあって工学院大学の情報学部に進学しました。まざまな講義を受けるなかで「将来はものづくりに関わりたい」という思いがさらに強くなり、SEを目指すようになりました。
Q3.SEのなかでも“社内SE”に魅力を感じていたそうですが、その理由は?
大学3年生の時に、インターンシップに参加した経験が大きかったです。当時インターンシップでお世話になった会社は他社に常駐するSEが多く、プロジェクトごとにさまざまな企業でシステム開発を行っていました。その様子はとても刺激的で面白そうでしたが、何事にもじっくり向き合うタイプの私には向いていないかな、とも感じました。私はピアノやパズルなど、一人でゆっくり時間をかけて物事に取り組むことが好きなので、一つの企業に所属して、使う人の要望を聞きながらシステムを開発できたら良いなと思っていました。そんな思いから、自社システムの開発をしている“社内SE”を目指すことにしました。
Q4. 仕事のやりがいや魅力は?
社会の安心や安全を支える企業のWebシステムを開発することに、やりがいと責任感を感じています。一般的にITというとベンチャー企業や外資系企業などの柔軟なイメージが強いと思いますが、セコムグループのような堅実な環境が自分には合っていると感じています。具体的な業務でやりがいを感じているのは、一人ひとりの意見を聞きながらWebシステムを開発できること。警備場所や対応内容を報告するためのシステムだったり、備品購入の申請と承認を一元化するシステムだったり……これまでに手掛けた案件はさまざまですが、「どんな機能があったら便利なのか」ということを現場の方たちとコミュニケーションを重ねながら実装しています。Webシステムを使った方から「必要なデータを簡単にファイル出力できるようになって、上司への報告が効率的になりました」といった反応をダイレクトにもらえることもうれしいポイントです。
Q5. 現在の仕事で必要と感じているスキルや能力は?
プログラミングスキルはもちろん大切ですが、大半は日々業務のなかで自然と身についてきます。それよりも私が大切だと思っているのが、要望を聞くためのコミュニケーション力です。Webサイトのユーザー自身が言語化できていない要望を丁寧にヒアリングするために、なるべく“簡単”な質問を“たくさん”用意するように心がけています。また、システムに最適なロジックを組み立てるための論理的な思考力も必要です。この部分は、大学在学中の「論理回路」の授業や研究室での論文研究などで鍛えられました。また、日々さまざまな事柄に対して疑問を持ち、その問いに対して自分なりの解決方法を考える習慣を身につけることも大切だと思います。
Q6. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?
まず思い浮かぶのは、インターンシップです。最初の頃は、どのような会社に就職したいのか自分自身でもわかっていなかったのですが、インターンシップに参加したことで、“社内SE”という目標が見つかりました。当時の私のように、自分が希望する会社や職種がはっきりとしていない場合、大学が主催する合同説明会やインターンシップに積極的に参加してみるのがおすすめです。また、前述の「論理回路」の授業は、現在の仕事にとても役立っています。設計書作成時におおまかなロジックを考える時や、データベースに操作命令を送るためSQL文を作成する時には、条件でANDやOR、NORなど、論理回路の授業の基礎で学んだ考え方がそのまま使えます。
Q7. 工学院大学を卒業してよかったと思うことは?
郊外に自宅があるので、高層ビルが建ち並ぶ新宿に行くだけでも楽しかったです。新宿には工学院大学のほかにもさまざまな学校があり、「同世代でもいろんな人がいるんだな」と気づけました。授業の合間に地下一階の自由スペースで友人たちと何気ないおしゃべりをしたことも、学生時代のかけがえのない思い出です。また、所属していた「分散アルゴリズム研究室」の課題で学会に参加したことも良い機会でした。学生生活を通じて、人間としての視野が広がったこと。それが、私が実感する工学院大学の良さです。
Q8. 後輩たちへアドバイスをお願いします!
社会人になると、自由に使える時間がどうしても少なくなってしまいます。なので、学生時代には、勉強や課外活動、就職活動はもちろん、趣味や旅行など、興味のあることに全力で取り組んでほしいです。実は私は学生時代からずっと「ハワイに行ってみたい」と思っていたのですが、結局勇気が出せず実現できませんでした。そのことを今でも少し後悔しています。学生の皆さんには後悔のないように“やりきって”ほしいです。
Q9. 今後の夢や展望を教えてください。
仕事の面では、20代で応用技術者試験を取得したいので、しばらくは勉強に取り組む予定です。また、一つひとつのプロジェクトを俯瞰して把握し、最適な開発スケジュールを組み立てられるようになることも目標です。プライベートでは、子供が大好きなのでそろそろ結婚も考えたいです。あとは、学生時代にやり残したハワイ旅行も実現したいです!
工学院大学は、135年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。
次回の卒業生インタビューもお楽しみに!