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データの分析・活用を通して、企業の経営課題を解決する #卒業生インタビュー

データ分析・活用のためのサービスやプロダクトを提供する株式会社ブレインパッドで、データサイエンティストとしての道を歩みはじめた沼瀬太朗さん。高校時代は野球三昧の日々で、大学に入ってからも「当初は何のために勉強をするのか理解できていなかった」と言いますが、研究室配属後、転機が訪れます。現在の職業を選んだ理由や業務内容、在学時の研究のことなどについて伺いました。

株式会社ブレインパッド 
アナリティクスコンサルティングユニット データサイエンティスト
沼瀬 太朗さん

入社1年目/情報学部システム数理学科卒業・システムデザイン専攻修了 経営情報システム研究室(指導教員:三木良雄教授)
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.現在のお仕事内容について教えてください。

 データサイエンティストとして現在は金融系のプロジェクトに参画し、主にデータの分析業務を行っています。分析において大事なのが、「何のための分析か」という目的やプロジェクト全体における位置づけ、分析の流れ、アウトプットのイメージなどを明確にし、見通しを立てること。そして、分析結果をもとに、具体的な施策を提案すること。そのためにも、クライアントにヒアリングを行い、事業内容や経営状況といった現状を把握し、課題を洗い出すことが重要になります。データ分析というと、ひたすらパソコンに向かって作業するイメージがあるかもしれませんが、実際はクライアントとのミーティングなど人と接する機会も多い仕事です。

Q2.現在の勤め先や職種を選んだ理由をお聞かせください。

 学生時代の研究では、データ活用の進んでいない洋菓子店において、購買データを分析して売り上げ向上施策を提案する、というテーマに取り組みました。経営者にヒアリングや分析結果の報告をしたり、分析結果に基づいてクーポンを配布したりと、さまざまな経験を積むなかで、データを活用して企業の経営課題の解決に携わりたいと考えるようになり、データサイエンティストの道を選びました。
 
また、ブレインパッドを選んだ理由は2つあります。1つは、「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」という会社のPurposeに共感したからです。私が所属していた経営情報システム研究室は、「AI/IoT/ビッグデータを駆使して、企業の実課題を解決する」というテーマを掲げており、そこでは企業の経営にデータを活用することの難しさと面白さを学びました。学生時代に得た知見や専門性を活かし、社会や企業の課題解決に貢献したいと考え、ブレインパッドを選びました。もう1つは、自分自身の成長につながると考えたからです。ブレインパッドの社員は大学院修了者や博士号取得者が多く、学ぶ意欲の高い人が多いと聞いていました。レベルの高い環境に身を置くことで、刺激を受け成長できると考え、入社を決めました。

Q3.仕事の魅力ややりがいについて教えてください。

 データ分析を通じてクライアントに新しい知見や価値を提供できたときに、やりがいを感じます。「意外な結果だ」「知らなかった」「教えてもらってよかった」といった反応があると、うれしいですね。一般的にデータの分析・活用には、売り上げ向上などを目指す「攻めのIT」と、コスト削減や業務の効率化などを目指す「守りのIT」があり、ブレインパッドは「攻めのIT」を得意としています。私はマーケティングや経営にも興味があり、データ分析の先にある売り上げ向上施策の提案などのコンサルティング的な部分まで携われるのも、今の仕事のやりがいの一つです。

Q4.現在の職種には、どのような知識、能力、心構えが必要だと感じていますか?

 仮説を立てる能力です。私自身もかつては「とりあえずデータを見てから考える」ということをしていましたが、闇雲にデータをとって情報量を増やしても、有用な知見は得られません。あらかじめ複数の仮説を立てて「どうなりそうか」というストーリーを描き、その仮説を検証するためにはどのようなデータ分析を行えば良いかを考えてから実行すること、そして、出てきた結果を仮説と照合し、次のアクションを考えることが求められます。

Q5.学生時代のどのような学びや経験が、今の仕事に活きていますか?

 洋菓子店の定例ミーティングに参加させてもらうなど、学生時代に実際のビジネスに近い経験ができたことが大いに活きていると感じます。また、その際に三木先生から何度も言われたのが、「ドメイン知識(背景知識)を勉強し、課題の背景まで理解して本質を捉えろ」ということでした。知識がないままデータだけを見ていると、見誤ってしまいます。今は金融系のプロジェクトに携わっているので、金融業界のことや金融における基礎知識のインプットにも努めています。

Q6.就職活動において、意識したことや苦労したことはありますか?

 学部3年生のときに少しだけ就職活動をしてみたのですが、データを扱う仕事に就くなら大学院に進学して専門性を高めた方が良さそうだと感じ、大学院への進学を決めました。大学院時代の就職活動では、最初は業界や業種を絞らず、いろんな企業を見て視野を広げることを意識しました。比較しながら見ていると業界・業種ごとの特性や違いがわかってくるので、そこからは消去法で絞っていきました。比較対象があったことで、絞り込んでからも志望動機を明確化しやすかったです。

Q7.工学院大学で学んでよかったと思うことはありますか?

 研究を通して学ぶ楽しさを知ったことです。私は高校時代までは野球三昧の日々で、大学でも最初の2年間ほどは、何のために勉強をするのか理解できていませんでした。学ぶ楽しさを知ったのは、経営情報システム研究室に配属になり、三木先生の指導のもと研究するようになってから。データ分析はそれ自体が目的ではなく、企業の経営課題の解決などの大目的があってやるものであり、だからこそ面白いと思えました。研究室では優秀な仲間にも恵まれ、切磋琢磨しながら研究に打ち込むことができ、自分が身を置く環境の大切さも実感しました。

研究室のメンバーと

Q8.今後の夢や展望をお聞かせください。

 データサイエンティストには様々なバックグラウンドを持った人が集まり、それぞれ独自の強みを発揮しています。私自身はデータ分析の基礎力とビジネスへの感度を磨き、データサイエンティストとして結果を残すことが目標です。そして将来的には、チームを引っ張っていく立場で、データをもとに経営の意思決定ができるようになることを目指しています。また、人間としても成長し、多くの人から信頼される社会人になりたいです。

Q9.後輩へのメッセージをお願いします。

 大学の中だけに留まらず、積極的に外の世界に出てみるといいと思います。私は学部4年生の夏に、学外の課題解決型のプロジェクトに参加したことがあり、他大学の学生と一緒に学んだり、グループリーダーとしてメンバーをまとめたりしました。もともとそういう活動に積極的なタイプではなかったのですが、慣れ親しんだ場所を飛び出し、新しい環境で新しいことに挑戦した経験を通して、自分自身の成長を実感できました。学生時代のそうした経験は、社会人になってから必ず活きると思います。

在学時を振り返って……情報学部 三木 良雄教授から一言💡
沼瀬太朗さんは3年生のセミナーから修士2年生まで約3年半に渡って研究室での生活を一緒にさせてもらいました。最初は九州男児のためなのか黙々とデータ分析に向かっていて、正直このような仕事は嫌いなのかと感じていました。ところが、地元の父母懇談会で“この分野が大好きでとても喜んでいる”とお母様から伺い、”なんだ楽しんでいたのか”と安心したことを思い出します。修士課程での 研究では、実店舗の売上データからお客様の来店頻度を上げるための方策を導き、実際にクーポンを発行して効果を検証したりしました。現在はデータサイエンティストとして活躍しており、2016年に立ち上げた新しい学科の代表選手として、今後も社会の課題をどんどん解決して欲しいと期待しています。

工学院大学は、136年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!


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