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未来の医療従事者を指導し、免疫分野から病気への課題解明に取り組む

幅広い知識や高度な技術が必要とされる医療従事者。医学部、歯学部、薬学部、看護学部の4学部からなる岩手医科大学では、医療現場でチームを指導する医師を輩出するため、日々学生への入念な指導が行われています。
入職2年目の木村将大さんは、微生物学講座感染症学・免疫学分野に所属し、助教として免疫分野の研究や学生への実習講義を行っています。学部生の時からアカデミックに就職したいと考えていた木村さんに、現在の職業を選んだ理由や今後の目標をお聞きしました。

岩手医科大学
医学部 微生物学講座感染症学・免疫学分野 助教 木村 将大さん

入職2年目 / 助教 /化学応用学専攻 / 生物医化学研究室(指導教員:先進工学部生命化学科 小山 文隆 教授 / 坂口 政吉 准教授)/ 柔道部 / 生協学生委員会 / 趣味:柔道
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.岩手医科大学ではどのようなお仕事をされていますか?

私の主な仕事は研究と実習講義です。研究については、工学院大学で行っていた疾患に関わる酵素の研究を免疫分野からアプローチしています。また、インフルエンザウイルスやコロナウイルスに関する研究も行っています。実習では微生物学と免疫学を担当しており、学生に実験の指導をしています。

Q2. 現在の職業を選んだ理由は?

私は博士後期課程修了後に、日本学術振興会特別研究員PDとして東京薬科大学薬学部免疫学教室で1年間研究し、2021年4月より現在所属している岩手医科大学医学部の助教として赴任しました。ちょうど私が就職先を探している時にCOVID-19が流行し始め、何か私にもできることがあるのではないかと感じ、現職場を選びました。
また、自信となったきっかけは博士課程在学中に日本学術振興会特別研究員DC2に採用され、研究費を自分で取得することができたことです。もちろん最初からうまくいったわけではなく、2年連続で不採用となり、やっとの思いで採用されました。この経験が今の職に就いて、続けていける自信の一つとなっています。

Q3. 仕事のやりがいや魅力は?

研究だけでなく、講義などで学生の教育に携わることができ、魅力を感じています。私は中学から柔道を続けており、部活動などでも学生と共に汗を流せるので、とても楽しいです。

Q4. 今までの仕事で大変だったことは?

自分の育った学部ではない、医学部について順応するのに時間がかかりました。国家試験を受ける医学部の特徴に合わせたカリキュラムや講義の特徴を学ぶため、上司の講義を聴講し、研修等には積極的に参加しました。

Q5. 現在の仕事で必要と感じているスキルや能力は?

研究・教育共に専門的な知識や手技が必要になります。例えば酵素の研究であれば酵素学はもちろん遺伝子学や物理化学の知識も必要になりますし、ウイルスの研究では感染症学や免疫学の知識、培養細胞やマウスでの感染実験を行う手技が必要になります。
また、医学部の学生のほとんどが医者を目指しており、将来命に関わる仕事をする可能性があります。そういった学生への教育は、責任の重さを理解していなければならないと感じています。

Q6. 在学時に印象的な授業や役に立った授業はありますか?

今でも役立っているなと感じる授業は化学です。試料を作製するために必要な計算方法など、研究をするうえで非常によく使います。この計算ができない後輩も多く、卒論研究では最初に教えた記憶があります。化学だけではありませんが、やはり1年生の基礎は本当に大事だと感じています。
また、工学院大学で印象に残っていることは、実験実習が充実していることです。実際に手を動かすことで実践的な技術の習得ができ、レポートにまとめることで知識の定着が促されました。

Q7. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?

小山先生、坂口先生との研究や柔道部の先輩方との日々の練習に一生懸命取り組んだことは私にとって大きな学びになりました。また、生協学生委員会に所属し、アルバイトもしていました。学部生の時には、学会や展示会にも参加しました。こうした人の繋がりと経験は卒業後も自分の宝になります。研究や部活動、課外活動など、大学の教員や関係者と一緒に何かに挑戦することはとても大事です。学内・学外の様々なイベントに積極的に参加し、自分のやりたいことをぜひ見つけてください。学生の皆さんには広い視野で学んでほしいです。

Q8.工学院大学を卒業してよかったと思うことは?

ありがたいことに研究も柔道においても、工学院大学にいた頃の出会いが今でも続いています。今こうして皆さんに記事を読んで頂いていることも何かの縁です。工学院大学の長い歴史をかけて積み上げてきたものがあったからだと私は信じています。

Q9. 就職活動のときに意識したことは?

私は学部生の時からアカデミックに就職したいと考えていました。進学するにあたっては自分の価値を確かめるため、社会を学ぶために学部生と修士課程の時に企業の就職活動を行い、内定も頂きました。
その基礎となったのは大学のインターンシップの授業です。就職活動における基礎知識を身につけたことはよい経験になりました。

Q10. 今後の夢や展望を教えてください。

私の妹は自閉症です。昔から目標にしていることは、自閉症の様な難病のメカニズムの解明・緩和法や治療法の開発ができる研究者になることです。
助教として就職しましたが、これはスタートラインに立っただけに過ぎません。私の研究者としての目標のため、現在は新たに感染症学・免疫学の知識や実験手技を身につけるため日々努めています。
また今後の発展のために幅広い分野の論文を読むことで将来のための勉強もしています。関係のない様な知識や体験もふとしたことで役立つことがあるのです。この記事を読んでくださった方には、是非広い視野をもって頂けたらと思います。プライベートではずっと柔道を続けていきたいです。

在学時を振り返って……先進工学部 小山 文隆 教授から一言💡
木村将大さんは、本学入学以来、優秀な成績を収め、柔道部では主将・部長を務めました。彼は、私の研究室に配属後、研究を熱心に行い、また後輩の卒論生、大学院生の面倒見も良く、彼らとともに目覚ましい研究成果をあげました。このように、木村さんは文武両道で地道な努力ができ、チームとしてすすめることができました。大学院修了後は、東京薬科大学でポスドクを経験し、岩手医科大学で助教を務めています。異なる研究環境においても堅実に成果を積み重ねていることから、教育者・研究者としての今後を期待しています。

工学院大学は、135年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!


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