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工具メーカーが支えるモノづくり #卒業生インタビュー

旭ダイヤモンド工業株式会社は、ダイヤモンド工具の大手総合メーカーです。同社で製品の設計・生産管理に携わっている宮口葉月さんは、学部から大学院を通じて、機能性セラミックス化学研究室でガラスの研究に取り組んできた経歴の持ち主。そんな宮口さんの学生時代のエピソードから、現在の仕事にどのように向き合っているのかなど、さまざまなお話を伺いました。

旭ダイヤモンド工業株式会社
千葉第二工場 製造部 第一製造課 CMP企画設計係
宮口 葉月さん

入社7年目/化学応用学専攻修了/趣味:料理、ゲーム、DIYやアクセサリーなどのモノづくり、着物を着ること
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.現在までのキャリアについて教えてください。

 2017年3月に大学院を修了後、旭ダイヤモンド工業株式会社に入社しました。入社から2カ月間、三重、神奈川、千葉の各工場での研修を終えて千葉第二工場CMP課に所属、現在に至っています。

Q2.現在のお仕事内容について教えてください。

 私が携わっているのは、CMPコンディショナの製造です。CMPとは、半導体の材料に使用されるウェーハという円盤の表面を平らに磨く技術。研磨材入りの薬品(Chemical)と砥石を用いて機械(Mechanical)を使って磨く(Polishing)ことから、その頭文字をとってCMPといいます。VLSI(超大規模集積回路)製造プロセスでは、基板となるウェーハをCMPコンディショナによって極限まで平らに磨きます。具体的には、CMPコンディショナの設計や、生産の流れを管理する業務です。製造過程で検品をしたり、客先からの要求を満たしているかどうか、そのチェックも行っています。

Q3.現在の勤め先や職種を選んだ理由をお聞かせください。

 モノづくりが大好きということが出発点です。弊社は工具メーカーであり、工具は世の中に存在するあらゆるモノづくりにおいて、不可欠な存在です。工具を作ることで、世の中のさまざまなモノづくりに貢献できるのではないかと考えました。弊社では工具に使われる金属に、ダイヤモンドの「砥粒(とりゅう=切る・削る・磨くための粉末)」を電気メッキによって固定するのが主ですが、ガラスを使って固定するケースもあります。当初は学部・大学院を通じてガラスの研究に取り組んできたことから、ガラスを使ってダイヤモンドの砥粒を固定する業務をイメージしていたのですが、現在のCMPコンディショナの製造を担う部署に配属となりました。

Q4.仕事の魅力とやりがいについて教えてください。

 製造環境の改善に取り組んでおり、具体的には工程の短縮化、労力の軽減、不良品発生率を低減させることが目標です。最も力を入れているのは、不良品率ゼロです。現状、最終的には人の目によるチェックを行っています。製品の色味が違っていたり、目的の範囲外の箇所にメッキが施されていたりといった不良品をチェックします。今、半導体の需要は、増加の一途をたどっています。自分達のこうした取り組みが半導体の生産に貢献できるということに、大きなやりがいを感じます。

Q5.学生生活を通して、力を入れたことや印象に残っていることはありますか?

 Q3の回答でも触れましたが、学部の卒業研究と大学院の修士論文のテーマは、ガラスに関する研究でした。原子力発電所では、発電によって生じる放射性廃棄物をガラス原料と混ぜて一体化し、「ガラス固化体」として処理する方法を採っています。ガラス固化体を深い地層中に処分した際、放射性物質が染み出したりせず、長期間にわたって安定して閉じ込めておけるようなガラスはどのようにすれば開発できるかという内容です。

Q6.学生時代に受講し、印象に残っている授業はありますか?

 大学1年次から大学院修了までの6年間で学んだすべてが、重要だったと思っています。実際の工場での作業で、この薬品を使うのだったらこういう手順でやれば良いですよとアドバイスできるなど、専門で学んだ化学の知識が役立つことはもちろん、教養系の人文・社会科学分野の授業で得た知識も、職場の上司との話題で役立ったと実感することが少なくありません。すべてが重要だったと感じるからこそ、大学時代はもっと勉強に打ち込んでおけば良かったと思います。

Q7.就職活動において、意識したことや苦労したことはありますか?

 就職支援センターを活用しました。多いときで、週に1〜2回は足を運んだと思います。文章を書いたり自分をアピールすることが苦手だったので、スタッフの方にエントリーシートの添削をしていただき、たくさんのアドバイスを頂戴しました。また、同センターで面接も繰り返し練習できたので、本番には自信を持って臨むことができました。

Q8.工学院大学で印象に残っていることはありますか?

 子ども向け科学教室という、夏休みのイベントに参加したことをよく覚えています。スライムやスーパーボールを作るイベントでしたが、一般の人に伝えるために説明の仕方を考えたり、開催日に向けてスケジュールを組み立てる経験ができました。緑豊かな八王子キャンパスも印象に残っています。桜が咲く季節になると、八王子キャンパスの桜はきれいだったなあと今でも思い出します。

八王子キャンパスの桜

Q9.今後の夢や展望をお聞かせください。

 CMPコンディショナの製造工程の自動化を推進することが、当面の目標です。現状は注文が入る度に必要な図面を人が用意して、現場に流す仕組みになっています。人を介さないで自動的に必要な図面が出てくるような仕組みを、将来的に考えています。工程で不良品を検出する仕組みも今は人によるチェックに頼っていますが、いずれ自動化したいですね。例えばカメラを導入して、製品の色味だったり、正規品とは異なる外観の不良品を弾くという仕組みが考えられます。しかし不良品といっても、よくあるケースから初出のものまでさまざまです。何が不良品なのか定義づけをしっかりしないと難しいので、そう簡単には実現できません。なかなか手強い課題です。

Q10.後輩へのメッセージをお願いします。

 Q6の回答と関連しますが、できるだけ幅広く学んでみてください。将来、何が自分の強みになるか分からないからです。私の専門はいわゆる無機化学でしたが、もしも有機化学も学んでいたとしたら、今の職場でも役立つ場面が何度もあったことでしょう。そして今、私は統計学を独学で学んでいる最中です。不良品の発生について調査をすると、統計学の知識がどうしても欠かせません。不良品の発生率がどこまで上昇したらこの工程はダメだと判断するのか、統計学はその指標を与えてくれるのです。学生時代の自分が、将来統計学の知識を求めて悪戦苦闘しているとは想像もできないでしょう。ですから、専門的に取り組むこととは別に、なるべくさまざまなことにチャレンジしてみてください。広く浅くでも十分なのです。その恩恵はいずれ、思わぬ場面でご自身に返ってくるでしょう。

在学時を振り返って……先進工学部 吉田 直哉准教授から一言💡
宮口葉月さんは、化学的耐久性の向上を目指したSr,Cs固化リン酸塩ガラスの溶解挙動の研究というテーマで修士論文をまとめました。なかなか困難な テーマであったと思いますが、固化ガラスの作製や様々な機器分析で右往左往しながらもコツコツとデータを積み上げ頑張っていました。小柄ながらも大変にパワフルで、研究以外のところでも強い気持ちで周囲を統率し(引き摺り倒し?!)、障害物をなぎ倒して進んで行くかのような姿が印象的でした。会社でも家庭でも、きっと同じように努力され目的に向かって邁進されていると思います。ご活躍を期待しております。

工学院大学は、136年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!


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