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日本に“おいしい”を届ける、人気キッチン家電を設計開発

テレビやエアコン、冷蔵庫、オーブンレンジ、スマートフォン……など、デザイン性と機能性に優れた数々の家電を生み出すシャープ株式会社。入社6年目の名取碩唯さんは、5万人以上の社員が働く総合電機メーカーで、調理家電「ヘルシオ」の設計開発に携わっています。「自分が設計した製品が世に出ることが一番の魅力」という名取さんに、現在の業務の内容や学生時代の学びについてお聞きしました。

シャープ株式会社
Smart Appliances & Solutions事業本部  国内キッチン事業部
調理企画開発部  名取 碩唯さん

入社6年目 / 職種:技師 / 電気システム工学科 / 電気・電子工学専攻 /自動運転制御研究室(指導教員:向井 正和 教授)/ 趣味:散歩、彫刻
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1. シャープ株式会社ではどのようなお仕事をされていますか?

入社後は、日本国内向けのオーブンレンジやウォーターオーブン「ヘルシオ」、オーブントースターの回路基板設計(表示/操作部・電源・各センサ基板)や、性能・信頼性評価の業務に従事してきました。現在は、ウォーターオーブン「ヘルシオ」の設計開発に専門で取り組んでいます。回路を引くところから部品選定、製品の量産化までを担当しており、機構や性能評価、生産技術といったほかのグループと連携しながら製品の設計開発に一通り携わっています。

ウォーターオーブン「ヘルシオ」

Q2. シャープ株式会社を選んだ理由は?

大学に来ていた求人を偶然見かけ、軽い気持ちで応募したことがきっかけでした。どの事業に関わりたいかという強い希望はなかったのですが、「成果物がわかりやすく世に出た方が面白いだろうな」と考え、白物家電の設計を希望しました。

Q3. 仕事のやりがいや魅力は?

自分が設計した製品が世に出ることが一番の魅力です。家電量販店に陳列されている製品を眺めているときなどに、達成感を感じますね。信頼性評価は分担して実施しますが、基本的に1つの機種を1人で担当しているので、課題や困難にも真正面から向き合う必要があります。ただ、難しい課題であればあるほど楽しいと感じています。

Q4.課題に対する向き合い方、リフレッシュ方法について教えてください。

無線通信機能があり、2.45GHzのマイクロ波と最高300℃のヒーターの影響を受けるオーブンレンジの基板は、常にEMC(electro-magnetic compatibility=電磁両立性)の問題が付きまといます。そのため毎回、機構部分を含めて試行錯誤しながらノイズ対策を行っています。開発に行き詰まったときは、仕事後にお酒を飲んでリフレッシュすることが多いですね。そのためにワインセラーを買いました。

EMC試験の様子

Q5. 現在の仕事で必要と感じているスキルや能力は?

今の仕事に求められる能力は、電気的知識と問題解決能力だと考えています。設計開発の仕事には「期待している性能が出ない」、「想定通りに動作しない」といったことも起こります。そんなときに問題の原因を探る必須能力なのです。また、ほかのグループと連携して設計開発を行う場面も多いので、関係部門との折衝に役立つコミュニケーション能力も重要だと思います。

Q6. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?

大学で学んだ電気の知識はほとんど役立っています。特に回路を引き、部品定数を決める際は、電子デバイスや過渡現象など多岐にわたる内容を考慮します。そのときに学生時代に学んだ知識が生かされていると感じます。また、実験や研究は、設計した基板の評価の段取りや条件の割付け、結果考察などの進め方に役立っています。

Q7. 今の業務に役立っている授業はありますか?

「回路理論Ⅰ・Ⅱ」ですね。回路基板設計にはデジタルの知識もアナログの知識も必要です。その根本となる必修科目の回路理論は、しっかり頭に入れておく必要があると強く感じています。特に新規の電源回路を起こすときは、当時の参考書やノートを読み返したりしています。実務に直結する電気知識を多く学べたことは、工学院大学を卒業してよかったと思うポイントです。

Q8. 後輩たちへアドバイスをお願いします!

学生の頃と社会人になってからでは、考え方や物事に対する視点が大きく変化していくと思います。だからこそ、学生なりに知見を広げることや、色々な体験をしておくと良いのではないでしょうか。就職に関してのアドバイスは、就職支援のポータルサイトで情報収集を行うのがおすすめです。過去から現在までの膨大で有用なデータの蓄積があるので、就職活動では大いに役立つかと思います。

Q9. 今後の夢や展望を教えてください。

入社以来、立ち止まらずに仕事を続けてきたこともあり、過去について深く考えることはこれまでほとんどありませんでした。今後はエンジニアとして、問題への対応幅をより広くしていきたいと考えています。だからこそ一度過去を振り返り、自分に足りない能力や、それを補強するために何を学ぶべきかをあらためて考えてみたいです。

在学時を振り返って……工学部 向井 正和 教授から一言💡
名取さんは、学部4年生で自動運転制御研究室に配属され、大学院に進学してロボットや自動車の最適な軌道生成の研究を行いました。研究では、新しいことを勉強する必要があったため、本や論文を調べて勉強する場面が多かったと思いますが、非常に粘り強く、諦めず取り組んでいる姿を覚えています。新しい研究室で先輩がいない状況で、国内の学会発表、国際会議での発表に果敢に挑戦してくれました。研究室の先輩としても、後輩のためにゼミでの指摘事項をまとめたり、後輩の卒論に助言をしてくれたりと大変活躍してくれました。
仕事でも、新しいことを学び身につけて、粘り強く取り組んでいることと思います。卒業後にお会いして、仕事に取り組んでいる様子を聞き、大変嬉しく思いました。すぐに成果が出たり、評価されることばかりではないと思いますが、諦めず粘り強く頑張ってください。今後の活躍を期待しています。

工学院大学は、135年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!


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