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「航空機が好き」という想いを抱いて駆け抜けた大学時代 #卒業生インタビュー

吉澤聖良さんは、全日本空輸株式会社(ANA)の技術部門員として航空機の運航を支えています。幼少期から航空機に憧れ、念願が叶って現在の仕事に就いた吉澤さんが、大学ではどのような学びに取り組み、現在に至ったのか——さまざまな角度から、お話を伺いました。

全日本空輸株式会社
整備センター 機体事業室 機体技術部
吉澤 聖良さん

入社13年目/工学部 国際基礎工学科卒業・機械工学専攻修了(流体機械研究室)/趣味:読書
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.現在までのキャリアについて教えてください。

 2011年に全日本空輸㈱(ANA)にグローバルスタッフ職(技術系総合職)として入社しました。入社後、実際に格納庫で航空機の整備を行う『ドック整備部』に配属となり、航空機の電気系統を専門とした整備士としてキャリアをスタートしました。2016年に現在の『機体技術部』に異動となり、航空機の安全運航には必要不可欠な『整備プログラムの管理』や実際に整備士が作業を行う際の『整備マニュアルの作成』などを担当しています。

Q2.現在のお仕事内容について教えてください。

 『整備プログラムの管理』と『整備マニュアルの作成』を中心に担当しています。現代の航空機は飛行時間・回数と連動して、実施すべき整備作業がプログラム化されています。『整備プログラム管理』はANAが保有する236機の航空機の一つひとつの機体に対して、その整備プログラムが適切に運用されているかを管理する業務です。期限が近づいた作業があれば、作業指示書を発行して現場の整備士に指示を出す司令塔のような役割もあります。
整備士が整備作業を行う際に使用する『整備マニュアルの作成』も担当しています。航空機の整備は定例的に実施する作業に加えて、機体の品質を向上されるような改造・改修作業(例えば客室の座席やエンターテイメントの刷新など)も多く実施されており、そのすべての作業で使用される『整備マニュアル』を私たちの部署で作成しています。特に改造・改修作業では、新しい機器等を機体に取り付けることになるため、事前に海外メーカー等に出張し、開発中の機器を確認しながら手順書を作成することもあります。

Q3.お仕事に就くために、取得した資格などがあれば教えてください。

 ANAに入社するために取得した資格は特にありません。実際に航空整備士で働く際には車を運転することもあったので自動車の運転免許をもっていた方がよいかな、程度です。また私自身は入社後に『航空無線通信士』という資格を取得すると聞いていたため、内定後に取得をしました。

Q4.現在の勤め先や職種を選んだ理由をお聞かせください。

 私は幼少期から『航空機に対する憧れ』を抱いており、大学も航空機に対して学ぶことができるこの学校を選びました。航空機やその原理等に対して深く学んでいく中でも、その憧れは大きくなり続け『航空機の近くにいることができる職種』で就職活動を始めました。最初は『航空機を作りたい』という気持ちが強かったので重工などのメーカーを考えていたのですが、実際に航空機を運航するエアライン(オペレーター)にも技術系の総合職があることを知り、今のANAという会社を選びました。
エアラインの魅力は『お客様に近い』ことだと考えています。お客様が安全・あんしんに移動できるのはもちろん、定時に運航すること、客室で快適にくつろいでいただくことなど、エアラインが実現しなければならないことは多岐に渡っており、その実現にむけて、エアラインのエンジニアとして携わってくことについて魅力を感じています。

Q5.仕事の魅力とやりがいについて教えてください。

 魅力は航空機メーカーと連携して、『より安全・あんしんで魅力的な航空機を創る』ことができる部分だと考えています。航空機は私たちエアラインが持つ『運航データ・不具合データ』を活用しながら、日々改良されていることはご存知でしょうか。私たちエアラインの技術部門の役割は『安全・あんしん・快適な航空機を定刻どおりお客様に提供する』ことであり、運航中に発生した不具合に対しては『部品の交換』で対応をし、お客様への影響を最小限にするように日々オペレーションを行っています。一方で繰り返しの不具合等についてはその原因を究明して、メーカーと一緒に『航空機や部品の設計自体を変更(改修)』するといった、根本対策も実施しており、メーカーではないものの、航空機の設計にエアラインの技術部員としての自分の意見を反映できる、というのは就活の際に重工業等を目指したことがある自分にとっては魅力があると感じています。
 
改修作業は大小様々なものがあり『客室を新しい仕様にすべてに入れ替える』というものもあります。改修作業を実施する際には技術部員はもちろん、部品調達担当、工程計画担当そして整備士といった多くの方々が携わるため、工程が滞りなく進み、完成した機体を見た時にはなんとも言えない達成感とやりがいを感じます。

Q6.現在の仕事で大変なところは何ですか? どのようにして乗り越えたり、リフレッシュしたりしていますか?

 大変でもあり、やりがいのあるところですが『整備作業や改修作業を実施する際の現場部門を含めた実施調整』です。社内の部署はもちろん、部品を供給するメーカーとも作業実施にむけた部品納期等の調整が必要になります。メーカーの場合は基本的に海外の企業や人とのお付き合いとなるため、考え方や仕事に対するスタンスといった文化の違いを考慮しながら取り組んでいます。リフレッシュできるのは、空港や格納庫などで実際に機体を眺める時です。「やっぱりかっこいいな」と思えると、心に抱えたモヤモヤが解消できる気がします。

Q7.大学で取り組んできたテーマを教えてください。

 流体機械研究室で取り組んだテーマは、シンセティックジェットを利用した高揚力装置開発のための基礎的研究です。航空・推進系。具体的には航空機が飛ぶ原理にも関係があるコアンダ効果を用いたジェットの方向制御などの研究に取り組んでいました。

Q8.仕事の中で、大学で学んだことや身に付けたことが活かされたと感じた経験があれば、教えてください。

 どんな仕事であっても『達成したいゴールに向かって、どのようにアプローチするのが良いかを自分なりに考え、実行していく』ということは必要不可欠あり、大学の研究活動で身につけた『自分なりの仮説を立てて、その仮説を立証するためのプロセスについて仲間と真摯に話し合う』ということが活きていると感じています。
研究活動とは違い、実際の仕事では他者と利害が対立することも多く発生しますが、その様な場面であっても真摯に話し合い落としどころを見つけながら、あわよくば自分の味方にして、仕事を進めていくことができた瞬間はなんとも言えない気持ち良さもあります!
大学で学んだ航空機の知識ももちろん活きています。ちなみに同期入社の仲間には航空関連の専攻でない方も多くいましたが、入社後にしっかりと基礎知識から学べる教育がありますので、今記事を読んでいて航空関連の専攻でない方も心配しないでください。

Q9.学生時代に受講し、印象に残っている授業はありますか?

 航空業界を目指して入学した私にとっては、多くの講義が興味深かったと記憶しています。また個別の講義内容ではないのですが、基本となる力学等の授業が英語で行われていたのは非常に印象的で、学生時代は苦労した部分もありますが、今でも非常に役立っていると感じています。
TOEICなど資格取得の場面でも役立ちますし、海外のメーカー等と日常的にコミュニケーションを取らなければならない現在の仕事にも非常に活きています。

Q10.就職活動において、意識したことや苦労したことはありますか?

 私は航空業界を目指していたので、業界の絞り込み等にはあまり苦労をしませんでした。一方で応募する企業を絞り込む際には自身がその業界や会社で働いている姿をイメージできるか、ということを意識して絞り込みを行いました。面接の対策という部分もありますが、入社した後に『やっぱりイメージが違った』ということが自分自身にとって一番デメリットになると感じていたため、実際にその会社の社員さんに会ってみるなど、自分なりに工夫をした記憶があります。

Q11.今後の夢や展望をお聞かせください。

 仕事の魅力の部分でエアラインの技術部門はメーカと連携して『より安全・あんしんで魅力的な航空機を創る』ことをしていると言いましたが、よりエアラインとして航空機の設計に携われる部署で経験をしてみたいと考えています。またANAという会社の中には、お客様がエアラインを選ぶ際にも非常に重要な要素となる『客室仕様(客席やエンターテイメントシステム等)の選定』を行っている商品戦略部門等もあり、より『開発』に近い業務も経験してみたいと考えています。

Q12. 仕事について、新しく勉強していることやこれからの目標(キャリアプラン)を教えてください。

 学生時代に先生が『オタクになれ』と仰っていたことが今も心に残っており、私はこの言葉を『自分が好きなことを突き詰めろ』という意味だと受け取っています。『私が好きなこと』を考えると、やはりその中心には『航空機』がありますし、最先端技術の集合体である『航空機』のプロフェッショナルとしてあり続けるためにも、技術革新のトレンドなどを含めて常にアンテナを張りながら、常に知識をアップデートしていきたいと考えています。
 
また昔から趣味でプログラミングをやっていたのですが、それが活きて所属部署のDX(デジタルトランスフォーメーション)担当もしています。もともとは個人単位で業務のペーパレス化等に取り組んでいたのですが『そういうの得意なの?』と声を掛けられ、部署の担当になりました。
ANAの『やりたいことならやってみれば?』という会社の雰囲気があってのことではあるものの、自分の趣味が仕事で活きるとは思ってもみなかったので嬉しい経験でした。
どのような知識・経験が将来活きるかは誰にも分かりませんので、みなさんも学生の間に色々なことにチャレンジしてみてください。そして何よりも今を楽しんでください!

在学時を振り返って……工学部 佐藤 光太郎教授から一言💡
吉澤聖良さんが私の研究室で取り組んでくれた課題は、シンセティックジェットを利用して循環制御翼(航空機の主翼に装着されるフラップをジェットシートに置き換えた翼)の揚力制御を試みるもので、思い返すと難しいテーマをよく形にしてくれたと感心するとともに、余計な苦労までさせてしまって申し訳ないという気持ちが残ります。当時はシンセティックジェットの研究をはじめて2年目で、私自身が現象の本質を捉えられず試行錯誤をしていた頃です。私のムチャぶりによりこの世代の学生にはずいぶんと迷惑をかけてしまいましたが、吉澤さんが立ち上げてくれた研究テーマは今でもジェットベクタリングと形を変えて後輩たちに引き継がれています。
卒業して2,3年後に会った時には、技術と英語の二重苦で仕事が大変そう(大学教授は気楽でうらやましいと言われた記憶も・・・)でしたが、今回活躍している様子を拝見し、たいへん嬉しく思います。先輩の姿を見てかどうかはわかりませんが、最近では航空会社や重工など直接・間接的に航空機の仕事に携わる卒業生が増えてきました。頭が器用で合理的にものを考える力は在学時から身に付いていたので、きっと今の仕事にも活かせているのではないかと思います。今後の活躍が本当に楽しみです。

工学院大学は、136年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!

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