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調達で建設現場をバックアップ #卒業生インタビュー

日本を代表する総合建設会社の一つである、大成建設株式会社。大貫茜子さんは、同社の調達本部で建具工事・ガラス工事の手配に携わっています。入社時とは別の部署で活躍する大貫さんに、現在の職業を選んだ理由やこれまでのキャリア、大学時代のことなどについて伺いました。

大成建設株式会社
調達本部 大貫 茜子さん

入社8年目/建築創造エンジニア/建築学部まちづくり学科卒業/都市デザイン 野澤研究室(指導教員:建築学部まちづくり学科 野澤 康 教授)/趣味:料理、旅行         
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.これまでのキャリアについて教えてください。

 「建築創造エンジニア」として新卒で大成建設に入社しました。建築創造エンジニアとは、建設現場で施工管理を担う技術者のこと。病院、再開発プロジェクトにおける高層建築物、大学図書館などの建設現場で施工管理業務を経験した上で、2年程前に現在の調達本部に異動しました。

Q2.現在のお仕事内容について教えてください。

 現在は、調達本部に所属し、現場をバックアップする立場にいます。私が担当しているのは、建具工事・ガラス工事(建設中の建物に扉や窓などを取り付ける工事)に関する取引先の選定や価格交渉です。当社が受注したほぼすべての建設工事が対象になるため、扱う案件は多岐にわたります。取引先の選定や価格交渉を行うためには、コストについての情報の収集や分析が不可欠です。コストを抑えて自社の利益を確保することはもちろんですが、品質や安全面に関するメーカーや現場の意見も取り入れながら、協力会社とWin-Winな関係が築ける調達を目指しています。

Q3.現在の勤め先や職種を選んだ理由をお聞かせください。

 大成建設に惹かれたのは、大学で行われた企業の合同説明会で、先輩社員の方のお話を聞いたのがきっかけです。自分の仕事に誇りと責任をもってイキイキと働かれていたのが、とても印象的でした。選考が進むとリクルーターと面談をする機会があるのですが、その方が面談外でも親身になってフォローしてくださり、この会社で働きたい、この人たちと一緒に働きたいと思い、入社を決めました。また、職種については、大学で建築を学ぶなかで建物を通じて人々の生活を豊かにする仕事がしたいと考えるようになり、入社当初は施工管理として現場監督を目指していました。建設現場での仕事にもやりがいを感じていましたが、さらに視野を広げたい、キャリアの幅を広げたいと考え、いろいろな部署の人に話を聞くなかで、現場を支える調達の仕事に興味を持ち、志願して異動しました。

Q4.仕事の魅力ややりがいについて教えてください。

 自社の利益も取引先の利益も考慮しながら交渉や調整を行い、お互いにとって最適な買い付けラインを見つけ出していくプロセス、そして、全国各地の多様な案件に広く携われることに今はやりがいを感じています。建物を建てるためにはさまざまな要素が必要で、自分が担当する建具工事やガラス工事でコストや工期に無理があると、他の部分に皺寄せがいってしまいます。そうならないよう、プロジェクトを俯瞰する視点を持ち、部分だけでなく全体も意識しながら仕事をしています。調達の仕事は担当者に任されている部分が大きく、責任の大きさに不安になることもありますが、その分やりがいも大きいと感じています。


Q5.現在の職種には、どのような知識、能力、心構えが必要だと感じていますか?

 建築の知識はもちろん必要ですが、頭でっかちにならず、いろんな人の声に耳を傾け、意見を交わし合う姿勢が大事だと感じています。例えば、建具やガラスなどの製品を扱うメーカーや専門工事業者の方は、私たちよりもずっとその分野に精通しています。こちらの要望や意見など伝えるべきことは伝えつつ、相手の話をしっかりと聞くこと、コミュニケーションを丁寧にとることを大事にしています。建築物は、さまざまな人たちの協力があってこそ建てられるもの。一緒に仕事をする相手を尊重する気持ちを、これからも大事にしたいですね。

Q6.学生時代に受講し、印象に残っている授業はありますか?

 3年次に受けた「まちづくり演習」の授業です。新宿のあるエリアにおいて、どのような場をつくればより良いまちになるか…というテーマでグループ演習を行いました。5〜6人で、単身者、家族世帯、高齢者などの立場から意見を出し合い具体案としてまとめることを通して、当事者の立場になって考えること、自分の意見を伝えること、他者の意見を聞くこと、多様な意見をまとめて一つの結論を出すことを実践的に学ぶことができました。出てきた意見を建物や土地の活用法といった具体的なかたちにするのは、私にとって初めての経験だったので、その点でもとても勉強になりました。いろんな立場の人の意見に耳を傾けるという姿勢は、まさに今の仕事に通じています。

Q7.工学院大学で学んでよかったと思うことはありますか?

 卒業して改めて感じたのが、工学院大学の専門性の高さと卒業生の活躍ぶりです。仕事で打ち合わせをしているときなどに、建築学部の先輩・後輩や同級生に会うことも。専門性を活かしてバリバリと活躍する姿に、自分も頑張ろうと触発されます。また、演習や卒論を一緒に乗り越えた仲間とは、今でも連絡を取り合い、食事などにも行っています。かけがえのない仲間に出会えたことも、工学院大学で学んでよかったと思うことの一つです。

演習や卒論を一緒に乗り越えた仲間たちと

Q8.今後の夢や展望をお聞かせください。

 一つは、建具やガラス以外の品目においても調達業務に携われるよう、幅広い知識を身につけることです。既に自ら希望して新しい品目の調達に挑戦しています。やってみたいと手を挙げればやらせてくれる今の職場環境には、感謝しています。また、現在は一級建築士の資格取得に向けて勉強しています。資格があることで仕事やキャリアの幅も広がると思うので頑張りたいです。

Q.9後輩へのメッセージをお願いします。

 私自身、学生時代は施工管理の仕事がしたいと思っていて、施工管理職で入社しました。でも、働くなかで建築の仕事にもさまざまな部署や職種があることを知り、会社に相談した上で、施工管理職とは別の視点からの経験を積むために調達本部に異動しました。就職してから、自分がやりたかったことと違うな…と違和感を持ち悶々とすることもあるでしょう。実際に働いてみないとわからないこともあるので、無理もありません。そういうときはミスマッチだったと落ち込むのではなく、会社や上司に相談し、自分が活躍できる場所を探してみてください。きっと、イキイキと働ける場所が見つかるはずですよ。

在学時を振り返って……建築学部 野澤 康 教授から一言💡
大貫茜子さんは、3年生の夏休みから学部卒業までの1年半強の短期間でしたが、とても活発に研究室活動に参加してくれました。3年生の時には岩手県野田村の復興ワークショップに参加して、他大学の大学院生などとともに提案をまとめて、村の方々に発表しました。そして、4年生の時には、北海道函館市の中心市街地の駐車場調査を現地で行い、論文をまとめました。 就職後も時々研究室を訪ねてくれています。会社に入っていろいろなことを勉強して、同じゼネコンの中にも学生時代には知らなかった仕事があることを発見して、現在の部署に異動したようです。 これからも新たなチャレンジをしていってほしいと期待しています。

工学院大学は、136年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!


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