3Dデータを活用し、もっとワクワクできる建築や都市を
計測・測量・補修技術を活用し土木・建築など幅広い分野に貢献しているクモノスコーポレーション。工学院大学建築学専攻卒業生の堀越脩仁さんは現在、建築物の3D計測とデータ処理に携わっています。在学中から建築や都市のアーカイブに興味を持っていたという堀越さんに、現在のお仕事のやりがいや将来のビジョンについて聞きました。
Q1. クモノスコーポレーション株式会社でどのようなお仕事をされていますか?
私は研究開発部という部署でエンジニアとして働いています。現在取り組んでいるのは、点群(座標値、RGB、反射強度といった情報を持つ3次元の直交座標)のデータ処理、3Dモデリング、3Dデータ、地理空間情報の活用方法の開発です。最近では、建築家の黒川紀章氏が設計したカプセル型集合住宅「中銀カプセルタワービル」という著名な建物の3D計測も行いました。教科書に掲載されているような有名な建築物を内部の隅々まで見ることができたのは、とても貴重な経験になりました。
Q2. 現在の職業を選んだ理由は?
大学在学中は建築デザインや都市史を専攻していましたが、その一方で3Dモデリングなど建築物の3Dデータ活用に興味を持っていました。友人の紹介もあって現在の会社のことを知り、「旧都城市民会館のデジタルアーカイブプロジェクト」に代表されるような、3Dデータで建築物や都市の記憶・歴史を保存する企業の姿勢に共感しました。
Q3. 仕事のやりがいや魅力は?
取り壊される建築物などをデータでアーカイブすることで、記憶だけでなく記録に残せるところです。既存の建築物の新しい生き方のお手伝いをできるところも楽しいです。さまざまな建物や、普段は入れない場所に行けることも魅力だと感じています。
Q4. 今までの仕事で大変だったことは?
業務で扱う機材や計測対象が高価なものが多いため、神経を張り詰めて仕事をしなくてはいけないところです。疲れが溜まったらお風呂に入ったり、京都のお寺を巡ったり、キャンプに出かけたりしてリフレッシュしています。
Q5. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?
大学院の研究室では、さまざまな建築物の大きさや構造を計測し二次元の図面で再現する研究をしていました。計測はすべて人の「手」で行います。これがレーザー光などを使う3D計測なら、作業時間を短縮できるだけではなく、人の手では計測できない部分も記録することができます。就職先は、この分野のパイオニア的存在。「建物を保存したい」という思いが、研究室と現在の職場をつなげてくれました。
懐かしいのは、在学中に研究のため通った新宿駅西口の居酒屋街「思い出横丁」。3D計測なら、高低差のある独特の地形も記録できるのに、と思うこともあります。
また、大学院で都市景観や歴史的建造物について専門的に学んだことが、自分の強みになっています。社内には、建築物のエキスパートが揃っていますが、これらの分野の専門知識が一番あるのは自分と自負しています。関連する相談事は真っ先に自分に声がかかるようになりました。
Q6.工学院大学を卒業してよかったと思うことは?
友人や先輩後輩、先生、職員の方々に出会えたことです。結局のところ、いい人が多いのが工学院大学の魅力だと思います。「こんな会社がある」と教えてくれたのも友人です。私の場合は、学生プロジェクト「WA-K.pro」に参加して、人間関係の幅も層もぐんと広がりました。一番の宝物になっています。
Q7. 就職活動のときに意識したことは?
「自分が楽しいと思えるかどうか」を一番に考えながら、自分の「やりたいこと」と「できること」のバランスを意識していました。
Q8. 後輩たちへアドバイスをお願いします!
とにかくたくさんの人に会って、話して、興味のあることにはなんでもチャレンジしてみてください。深く考えなくてもとりあえずやってみたら、必ずなにか発見はあるはずです。
この業界を希望する学生は測量に関する知識、地理空間情報に関する知識、コンピュータに関しての基本的知識と土木建築の知識、建築業にデジタル技術を導入する「XR」に関しての知識が必要ですが、どんな仕事でも楽しむ心構えが一番大事だと思います。
Q9. 今後の夢や展望を教えてください。
地理空間情報や3Dモデルといった技術を活用し「建築や都市をワクワクできて持続していくものにする」というのが私の目標です。こうした仕事を通じて、大学で学んできたことを社会に還元していきたいです。
工学院大学は、134年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。
次回の卒業生インタビューもお楽しみに!
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