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「また参加したい」の声多数!産業展示会で技術移転のリアルを学ぶ

冬空が澄み渡り、冷たい風が街角を通り抜ける季節になりました。秋冬は、産業界にとっては展示会シーズン。最新技術をお披露目する機会が増える季節です。工学院大学も今年は3つの展示会に参加し、各研究室の学生が技術説明に挑戦しました。イベントごとに特色と来場者の特性が異なる中、学生たちはそれぞれの場で力を発揮しました。

おおた研究・開発フェア

出展:工学部機械工学科 安心安全研究室(小川雅 准教授)

東京都大田区は、日本を代表する中小企業や町工場が多数位置する、モノづくりのまちです。この展示会は、羽田イノベーションシティ(HICity)を舞台に、社会実装や研究開発の促進に向けた区内企業とのマッチングを目的としています。 新しい技術を取り入れ、イノベーションや新事業創出を目指す企業等が多数来場しました。

小川研究室が紹介するのは、X線での計測により、構造物を壊さずに溶接内部の欠陥などを検知する技術。当日は製造の現場を良く知る近隣の企業の方などから実務的な質問が多く寄せられ、小川研究室の学生3名が、技術説明に挑戦しました。

説明に挑戦した小川研究室の学生

学生達は、初めに研究内容の説明をした後に、企業の事業や求めている技術を聞き、現在の研究内容でどこまで提供できるかを伝えていきました。大学院生は本研究で重視している今後の実証実験や共同研究への展開も視野に入れ、説明を行いました。

ーおおた研究・開発フェアの展示会に参加してみていかがでしたか?

思っていた以上に、当研究に興味を持っていただける企業が多かったです。技術移転先として求められるニーズ・材質の範囲が広いため、研究活動でもより広い視野をもって活動すべきと感じました。
普段の学生発表では「研究詳細」の説明を求められますが、展示会ではその研究がどの範囲まで実用可能か、アウトプットを求められたことが印象的でした。相手のニーズを探りながら説明する大切さを感じました。(機械工学専攻修士2年 北澤丈志さん)

初めはすべて完璧に説明しないといけないと考えていましたが、不明点は素直にわからないと伝えることで肩の荷が下りて、スムーズに説明を行うことができました。私たちの研究が社会的にどのようなニーズがあるのかも明確になり、今後一層、研究の流れや理論について理解を深めたいと感じました。社会に出る前にとても貴重な体験をすることができました。(工学部機械システム工学科4年 村岡和真さん)

どのような質問が来るか事前の予測が難しく不安も感じていましたが、自分が理解している内容を整理し、先輩や同期の説明を聞くなかで、研究への理解を深めて予想外の質問にも対応できるようになりました。自分の研究がどのようなニーズに答えられるのかを知ることができ、視野が広がりました。(工学部機械システム工学科4年 井上祐輝さん)

CEATEC

出展:工学部電気電子工学科 高機能デバイス研究室(相川慎也 教授)、
先進工学部応用化学科 酸化物エレクトロニクス研究室(永井 裕己 准教授)

CEATECは幕張メッセにて開催される大規模な展示会です。デジタルイノベーションの総合展と題し、有名メーカーやIT企業、大学、官公庁など、幅広い分野から800を超える企業・団体が集まりました。本学は相川教授と永井准教授の研究技術を紹介。太陽電池への応用が期待できる透明導電薄膜や、薄膜トランジスタを用いたCO2センサーの技術を展示しました。

nm(ナノメートル)単位の試作チップが入ったピルケース。
試作の多さから試行錯誤の跡が見て取れます。

当日は両研究室から7名の学生が研究説明に挑戦しました。期間中は、各業界の最前線で活躍する卒業生が、本学の名前を見つけてブースに訪れる場面もありました。

ーCEATECはどのような展示会でしたか?

見学に来られる方の専門分野が多岐に渡るため、見学者の興味関心にあわせて説明内容を変更するスキルが磨かれました。展示会では、自身の研究内容を説明するだけでなく、自ら産業界のニーズをサーチして、技術の応用先を提案していく姿勢が大切だと思いました。様々な業界の困りごとに触れることができ、解決策を一緒に考えるのが面白かったです。(電気・電子工学専攻修士1年 村上友佳子さん)

バックグラウンドが異なる方と話す機会もあり、自分で思いつかないような応用先を提案いただくこともありました。また、自身の研究の優位性や、透過率などの図の見方を分かりやすく説明する力も求められました。企業のリアルな需要を聞くことができる良い機会となりました。(電気・電子工学専攻2年 佐藤和人さん)

当日は初めて展示会に参加する学部4年生もおり、大学院生の先輩に質問したり、両研究室の4年生同士でフィードバックを行い、説明に備える姿が見られました。

ブースは多くの方で賑わい、企業の関心の高さが伺えます。

メッセナゴヤ

出展:工学部機械工学科 リサイクル工学研究室(小林潤 教授)
先進工学部応用物理学科 酸化物エレクトロニクス研究室(永井 裕己 准教授)

愛知県は自動車を始め、航空機、工作機械をはじめとする日本一のモノづくり産業の集積地と言われています。2006年から続く「メッセナゴヤ」のサブタイトルは「日本最大級異業種交流展示会」。人気のほどがうかがい知れます。
リサイクル工学研究室は、航空機のボディなどに使われる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)から、電磁波での加熱によって炭素繊維を分離・回収し、リサイクルする技術を紹介しました。

ーメッセナゴヤに参加してみていかがでしたか?

東京での展示会に比べ、東海・関西方面の企業やトヨタグループ企業の出展が多いことが印象的でした。工学院大学を初めて知る方も多く、大学の所在地や学んでいる内容について説明する機会もありました。移動中の電車から見える様々な企業の工場を眺めながら、全国各地で活躍しているOB・OGの先輩方に思いを馳せ、その素晴らしさを感じました。(先進工学部応用物理学科4年 中村瑛治さん)

メッセナゴヤは企業や団体の交流を主なテーマとしており、自分の研究紹介から始め、研究を支援する器具や、機構を提供する企業のプロモーションまで、多様な交流を深める経験を積むことができました。自動車、デバイス、建築など、多彩なテーマの展示を巡りながら、専門外の分野での刺激的な研究にも触れることができました。(先進工学部応用物理学科4年 内山翔太さん)

3つの出展を終えて、ほとんどの学生が「また展示会に参加したい」と回答してくれました。研究内容への理解を深めるため、産業界のニーズを知るため、就職活動をスムーズに乗り切るため、興味のある方はぜひ、展示会に参加してみませんか?


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