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個人商店の売上を増やす販売モデルとは? 情報起点のマーケティング戦略

工学院大学

工学院大学では毎年多くの学生が様々な分野で表彰を受けていますが、実際にどのような研究をしているのか、興味はありませんか?今回は、受賞内容や普段の研究生活など、受賞の裏側に焦点をあてインタビューしていきます。

*受賞者プロフィール*
沼瀬太朗さん システムデザイン専攻1年 / 経営情報システム研究室 (三木 良雄 教授)
■受賞内容:FIT 情報科学技術フォーラム2021・FIT奨励賞
■研究テーマ:専門店の行動的な顧客を考慮した収益最大化のための購買シミュレーションの提案

まるで商学部のような研究テーマですが、情報学がどのように関わっているのでしょうか。まずは、沼瀬さんの普段の研究内容について教えていただきました。

経験則が頼りの専門店販売

私が現在分析しているのは洋菓子の専門店の購買データです。どこの商店街にもある、ご近所の方が買いに来る小規模な個人商店です。顧客のほとんどは「誕生祝いのケーキが欲しい」「お土産にする詰め合わせ菓子を買いたい」の様に、ある程度買う商品を決めて来店します。

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なので、コンビニやスーパーのように多商品を扱う店舗と顧客の購買行動が全く異なり、既存の分析手法では有用な知見を発見することができません。そのため専門店では経営者の勘や経験を頼りに経営を行なっています。しかし、近年は多くの小売店が安価で高品質な商品を提供しており、比較的単価が高い専門店で顧客との関係性を維持するためには、データを活用した論理的な施策が必要だと考えています。

――個人商店でのデータを活かした経営は発展途上なのですね。それでは改めて、今回受賞した研究を教えてください。

データ分析で専門店の売上増を目指す

現在、専門店では1つの商品やジャンルに絞って商品展開することが主流です。理由は、売上が人気商品に偏るため、“1つの商品に絞って商品の質や店舗オペレーションを向上させた方が良い”と考えられているからです。しかしこれらは残念ながら論理的な施策ではなく、経営者の勘や経験から言われていることです。

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そこで私は”専門店の顧客の嗜好が長期的に変化しない”という特徴を考慮し、ベイジアンネットワークとベイズ更新を用いて確率的に購買シミュレーションを行いました。その結果、複数ジャンルの購入者が増えるほど将来的に売上が増加することが判明しました。つまり、現在の専門店の売上向上策と異なる結果を、購買データを用いて示すことができたのです。提案した手法は洋菓子店だけでなくどの専門店でも使用できると考えています。

――情報学分野からの確率や推論によるアプローチによって、新たな可能性が導き出されたのですね!結果を見てどう思いましたか?

初めて結果を見た時は今までの常識と異なったので少し驚きましたが、新しい知見をデータから論理的に導けたのでとても嬉しかったです。現在もデータから新しい知見を得るため、様々な視点で分析を行なっています。また、毎週水曜日のゼミや、月に1度購買データを提供して下さっている企業さんとのミーティングで、分析結果について議論を重ねています。研究活動はとても充実していて、あと一年でさらに有益な結果を出したいと考えています。

――充実した研究の様子が目に浮かぶようです。一年後が楽しみですね。それでは最後に、現在の研究分野に入ろうと思った理由と、面白い点、大変な点を教えてください。

マーケティング×情報学がおもしろい

元々マーケティングに興味があり、購買データを持っている三木教授の研究室に入りました。データを分析していて一番面白いと感じることは、想像や仮定と異なる分析結果が出たときです。分析手法は数多く存在するため、色々な視点で分析を行うことができます。また、最も苦労したことは研究背景を理解することです。研究をはじめた頃は“専門店の経営者が何に困っているか”を理解するのにかなり時間がかかりました。

――情報学という専門分野からの分析と、経営背景など、他分野への深い理解と知見が必要なのですね。改めて、受賞おめでとうございます!

参考:システムデザイン専攻生が、FIT 情報科学技術フォーラム2021でFIT奨励賞を受賞

今後もさまざまな賞を受賞した学生から、受賞内容や普段の研究生活について不定期インタビューしていきます。次回の更新をお楽しみに!

▶沼瀬さんから、春から大学生になる皆さんへのメッセージが届いています。こちらもぜひご覧ください!

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