2年連続出場で勢いにのるKRP ロボコンで優勝を目指す #Action
全国の学生たちが知識と技術を結集して競い合い、優勝チームは日本代表として世界大会ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト(ABUロボコン)』にも出場する『NHK学生ロボコン』。工学系の学生にとって憧れの舞台である同大会には、書類選考やビデオ審査を経て選出された約20チーム(2022年大会は16チーム)が参加しています。
工学院大学ロボットプロジェクト(以下:KRP)は、2018年以降悔しくも審査を通過することができていませんでしたが、2021年と2022年大会には出場権を獲得。2大会連続で特別賞の受賞も果たしました。その激闘の舞台裏を、KRPのメンバーたちの声とともに振り返ります。
会場を沸かせた華麗なパス
『NHK学生ロボコン』では、全国の学生がロボットを製作し、大会ごとに変わる競技ルールのもと、勝負を競い合います。2022年の競技ルールは、インドの伝統遊戯「ラゴリ」がモチーフにしたもの。対戦する2チームはラウンドごとに「シーカー」と「ヒッター」に分かれて、それぞれ2台のロボット(R1とR2)を駆使しながら戦います。ウレタン製のパネルを積むことで得点を獲得する「シーカー」と、ボールを使ってそれを阻止する「ヒッター」のせめぎ合いが試合の見どころ。
6月12日に行われた大会当日には、各チームが「ラゴリ」のルールに合わせて製作した個性的なロボットが集結していました。
2022大会ルール動画
―KRPのロボットにはどのような特徴があったのでしょうか?
KRP 市川拓巳さん:
今年の機体はできるだけシンプルで簡単な機構にしたので、他校と比べてもとても動きやすいロボットに仕上がっていました。大会前に動作を確認するために行われるテストランでも、すべて順調に動いていました。その点も他校とは違ったところだと思います。
―もうひとつの大きな特徴が「シーカー」を狙うためのボールの集め方です。ほとんどのチームでは、ボールラックに置かれたボールを回収したR2がR1に接近して渡す仕組みを採用していましたが、KRPが選択したのはロボット同士が“パス”をするという戦略でした。
KRP 一杉昂樹さん:
ロボット同士が“パス”をすることで、移動するよりも素早くボールを回収できます。その点を活かして、うまく試合を進められるように工夫しました。技術的に難しかったのは、やはりパスの精度ですね。しっかりとパスが決まるようにスピードなどを制御しました。
―試合当日、R2からR1に華麗なパスが渡るたびに、会場からは「おぉ」というどよめきが起きていましたね。
うれしかったですね。ほかの大学がやってないことをやってのけて、なおかつうまくいくっていうのは、やっぱり気持ちが良いです。僕は前年度も学生ロボコンにも出場しているのですが、観客が入った大会は今回がはじめて。観客から反応をもらえたのは、「つくってよかったな」と思えた瞬間でした。自分たちなりのアイデアを組み合わせて、ほかにはないロボットにできたことが、とても大きかったと感じています。
ロボを動かす、チーム力
―今大会では惜しくも予選突破を逃したKRPですが、ロボットが“パス”をする独創的な機構や学部2-3年生を中心とするチーム構成などが評価され、特別賞(東京エレクトロン株式会社)を受賞しています。KRPの強みは、どのようなところにあるのでしょうか。
一杉さん:
やっぱりチーム力ですね。一致団結して、ロボットを作る力が僕たちの強みだと思います。たとえロボットづくりに精通した技術力の高い人が数人いたとしても、チームの運営がうまくいかなかったら、ロボットができません。チームとして役割分担をしっかりしながら、一体のロボットをつくるというみんなの意志が、大切だと思います。
市川さん:
コロナ禍でオンライン主体ということもあって、KRPに入ったときは同級生の顔もわからないという状況でした。ただ、そんななかで先輩たちがZoomなどを利用して遠隔でも活動を行える体制を整えてくれたのが一番だと感じています。学校に入れない時期も週5回くらいのペースで機体のコンセプトを話し合ったり、戦略を考えたり……。上級生も後輩もみんな仲が良くて、学年を越えた縦のつながりもしっかりある。やっぱり、チームワークが僕たちの強みだと思います。今年は残念ながら予選敗退してしまったので、来年はぜひ決勝に進んで、優勝したいと思っています!
チームの団結力が強いKRP。優勝に向け努力する彼らの個性的なロボットにますます目が離せなくなりますね。工学院大学のYouTubeチャンネルでは、Action!をキーワードに、研究活動や課外活動の様子を発信しています。