分光分析の魅力を解説!「環境施設見学」の授業に密着
工学院大学では、実験・実習やPBL(問題解決型学習)科目を実施しており、講義で学んだ知識を実感し、実践力を身に付けることを目指しています。この企画では、工学院大学ならではの授業に潜入し、その様子をご紹介します。
今回紹介する授業は、先進工学部環境化学科の2年生を対象にした「環境施設見学」。実社会でどのような取り組みが行われているのかを知るために、環境保全技術や新エネルギーの開発に取り組む企業や施設を見学します。 分析装置・機器の開発・製造を行う日本分光株式会社で行われた授業をご紹介します。
分光の魅力に迫る授業がスタート!
まずは、お世話になる日本分光株式会社の社員の皆さんにご挨拶。20人の学生に対してこんなにもたくさんの社員の方々が対応してくださるとは……ありがたい限りですね。
冒頭、環境化学科の関志朗先生が「分光の意味がわかる人?」と学生に問いかけると、モゾモゾとした反応が。「授業でやったはずだけど……? 座学では忘れてしまうことも、実際に体験すると理解が深まるので、今日はいい学びを得てください」と関先生。こうして授業はスタートしました。
最初のイントロダクションでは、光分析ソリューション部 赤尾部長の挨拶に続いて、総務課 渡邉課長から会社紹介がありました。
日本分光株式会社の源流は東京教育大学(現在の筑波大学)附属光学研究所であること、国産初の赤外分光光度計を製造したこと、現在はグループ会社が国内に6社、海外に3社あり、同社の分析機器は「JASCO」のブランドで世界中で使用されていること、さらに、早くから地球環境問題に取り組んできたことなどが紹介されました。
続いて、ソリューション技術課の田村課長より、「分光分析概論」として、「分光分析とは?」というミニ講義がありました。とてもわかりやすい解説で、学生たちも理解が深まったようです。
「百聞は一見に如かず」を体験!
いよよ分析室見学へ。分光分析の原理を使って開発・製造された3つの製品「赤外分光光度計(FT-IR)」「ラマン分光光度計」「紫外可視近赤外分光光度計」について、社員の方が詳しく解説してくださいました。
赤外分光光度計(FT-IR)
「赤外分光光度計(FT-IR)」は、赤外線を当てた際の分子の振動情報から、化合物の構造を分析する機器。一見すると組成がわからないもの、例えば、砂糖なのか鎮痛剤なのかカフェインなのかわからない白い粉の成分を分析・特定する際などに役立ちます。この強みを活かし、小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「リュウグウ」のサンプルを分析する際にも使われたそうです。
ラマン分光光度計
「ラマン分光光度計」は、レーザー光を対象物に当てた際に生まれる微量の散乱光から、対象物の情報を得る機器。顕微鏡付きの大型のものから手のひらサイズの小型のものまでさまざまな製品があり、微量・微少のものも破壊することなく測定できます。
紫外可視近赤外分光光度計
「紫外可視近赤外分光光度計」は、波長ごとの光の透過率(どれだけ光を通すか)や吸光度(どれだけ光を吸収するか)を測る機器。さまざまな色のタイルを使いながら、「光とは何か」「どうして黄色いものが黄色く見えるのか」といった基本から説明してもらいました。学生たちは実際にタイルを測定して、色や表面の光沢によりスペクトルが変化することを確認しました。
実践で得た新たな発見と理解
分析室での授業を終え、最後は質疑応答・総括の時間に。関先生は、日本分光株式会社の皆さんに感謝を伝えたうえで、学生に対しては「こうして快く受け入れてくださったのは、皆さんが“将来を担うエンジニアの卵”だから。今日は本当に勉強になったと思う。感謝の気持ちをもち、しっかりと勉強してほしい」と激励しました。
続いて、学生たちが見学を終えての感想をひと言ずつ述べました。
参加した学生のコメント(一部抜粋)
最後にあらためて社員の皆さんに感謝の意をお伝えし、授業は終了しました。学生たちにとっては、座学では得られない気づきや学びがたくさんあった、素晴らしい機会になったようです。心なしか、みんなの表情も集合時とは違うような…!?
「環境施設見学」にご協力いただいた日本分光株式会社の皆さん、ありがとうございました!
工学院大学noteでは、さまざまな授業の様子をレポートしています!ぜひご覧ください。