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未来を守るセキュリティエンジニアの挑戦 #卒業生インタビュー

セコムトラストシステムズ株式会社は、情報セキュリティと大規模災害対策を中心に業務を行う、セコムグループのICT分野を担当する企業です。山田優生乃さんは、同社のセキュリティエンジニアとして活躍しています。卒業後に進む道を選ぶきっかけとなった大学の授業から、現在の仕事の内容や今後の展望などについて伺いました。

セコムトラストシステムズ株式会社
技術本部サイバーセキュリティ2部
セキュリティオペレーションセンター セキュリティエンジニア
山田 優生乃さん

入社2年目/情報学部コンピュータ科学科卒業 セキュリティ科学研究室 (指導教員:藤川 真樹 教授)/趣味:推しのライブに行くこと
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.今の勤め先や職種を選んだ理由を教えてください。

 「セキュリティエンジニア」という職種を軸に就職活動をしていたところ、弊社に出合いました。セコムグループは企業理念の一つに「正しさの追求」を掲げています。「まっとうなことを行わずして利益を得てはいけない」という理念は、一般的には当然のことですが、理念として明確に掲げている企業は初めてでした。「ここなら安心して仕事ができる」と感じ、志望しました。その後、新卒でセコムトラストシステムズ株式会社に入社し、現在の部署(セキュリティオペレーションセンター)に配属されました。
 セキュリティエンジニアという職種を選ぶきっかけは、3年次の「サイバーセキュリティ」の授業でした。この授業では、ネットワークへの疑似攻撃を行い、脆弱性をチェックする「ペネトレーションテスト」や、ハッカーを引き寄せる「ハニーポット」の構築などの演習課題に取り組みました。答えがない課題に対して、自力で解決策を見つける過程に苦労しましたが、成功した時の達成感が非常に心地よく、この分野に進みたいと強く思うようになりました。

Q2.現在のお仕事内容について教えてください。

 セキュリティオペレーションセンターでは、次世代サイバーセキュリティサービスの構築や、お客様のサイバーインシデント(情報セキュリティ事故)対応、サイバーセキュリティに関する講師活動、情報レポート作成などを行っています。私はこれらの業務のサポート役として、主に情報収集や資料作成を担当しています。

Q3.現在の仕事の魅力ややりがいは何ですか?

 現在の仕事の魅力は、さまざまなサイバーセキュリティ技術に触れることができる点で、実際の検証作業に取り組むたびにワクワクしています。一方で、先輩社員と意識を合わせるのが難しいと感じることもあります。依頼された仕事の目的を明確にするために、どのように質問すれば良いか悩むことが多いため、作業が間違っていないかをこまめに確認・相談するように心がけています。例えば、資料作成では、目次の段階で方向性を確認してもらうようにしています。

Q4.大学で学んだことや身に付けたことが仕事で活かされたと感じた経験があれば教えて下さい。

 大学で学んだことが仕事に活かされていると感じる経験は3つあります。まず、4年間の授業や「基本情報技術者試験」で得た情報学の基礎知識です。セキュリティエンジニアとして、サイバー攻撃やネットワーク構成など幅広い知識が求められる中で、この基礎が役立っています。
 次に、「サイバーセキュリティ」の授業で行ったペネトレーションテストやハニーポット構築などの実践的な演習経験です。これらは独学では難しい内容で、授業を通じて学んだことが現在の業務に直結しています。
 最後の3つ目は卒業研究での経験です。「ARグラスを用いた認証システムの開発」をテーマに、パワーポイントを使った構成図作成や進捗報告などを行いました。これらの経験は現在の資料作成やプレゼンテーションに大いに役立っています。大学での学びが、仕事の基礎となっています。

卒業研究の様子

Q5.役に立ったと実感した授業があれば教えて下さい。

 「サイバーセキュリティ」です。まず技術的な知識と経験を得ることができました。この授業を受けるまで、ペネトレーションテストやハニーポットの構築はもちろん、仮想環境を構築した経験もありませんでした。しかし、この授業を通してサイバーセキュリティやネットワークについて深く学ぶことができ、現在の業務で脆弱性の検証を行う際にも役立っています。また、授業の成果をまとめた報告資料を作成する過程で、構築環境のスペックや構成図の作成も学びました。この経験も今の仕事に活かされています。入学当初はプログラミングの授業が楽しいと思っていましたが、卒業後の進路については特に考えていませんでした。この授業がきっかけで、現在の仕事を意識するようになりました。

Q6.在学時、就職活動の時はどんなことを意識しましたか?

 最初に意識したのは「早めに動くこと」です。3年次の春から夏にかけてのインターンシップに参加するため、情報収集やエントリーシートの作成に早めに取り組みました。次に、「利用できるものは積極的に利用する」ことを意識しました。セキュリティエンジニア職に絞って就職活動を行っていたため、企業説明会やWebサイトを使った企業研究を進めました。また、採用選考の時期には就職キャリア支援センターでエントリーシートの添削や面接練習、自己分析の指導を受けました。

Q7.学生時代にしておいた方がいいことがあれば、アドバイスをお願いします。

 学生時代は社会人に比べて時間の余裕があるので、資格取得に取り組むことをお勧めします。特にセキュリティエンジニアを目指すのであれば、まず「基本情報技術者試験」で基礎を固め、その後「情報処理安全確保支援士試験」で専門的なセキュリティ技術やマネジメントの知識を深めることが良いでしょう。ただし、この試験は3年以上の業務経験が推奨されるため、学生のうちに取得するのは難しい場合もあります。難しいと感じた場合は、まずは「情報セキュリティマネジメント試験」の勉強から始めると良いと思います。また、旅行や趣味など、社会人になると時間が取りにくくなる活動は、学生時代に積極的に楽しんでおくと良いでしょう。

Q8.工学院大学を卒業して良かったと思うことがあれば教えて下さい。

 情報学部での授業や卒業研究を通じて、幅広い情報学の知識やサイバーセキュリティの知識を身につけ、研究に取り組む経験ができたことです。ただ、当初「一定期間の大学での授業を海外で履修可能」な「ハイブリッド留学®」に惹かれて工学院大学に入学しましたが、コロナ禍の影響でその制度を活用できなかったことが心残りです。今後入学する皆さんには、この制度をぜひ活用してほしいと思います。

Q9.今後の夢や展望があれば教えて下さい。

 現在は、自分にしかない技術的な強みを身につけ、「○○については山田に聞けばいい」と言われるような人材になることを目指しています。そのために、さまざまな業務に挑戦し、どの技術を伸ばすかを見極めることが今の目標です。また、情報セキュリティに関する技術やマネジメントの知識をさらに深めるため、来年にはサイバーセキュリティ分野の国家資格である「情報処理安全確保支援士」の資格取得を目指しています。今は社内での情報収集や資料作成が主な業務ですが、今後はセキュリティサービスを提供するメンバーとして、お客様と直接関わる機会が増えてくると思います。気を引き締めて頑張りたいと思います。プライベートでは、ライブに行くことが大好きなので、いろいろなアーティストのライブに行き、推しを増やしたいです。

在学時を振り返って……情報学部 藤川 真樹先生から一言💡
私の山田さんに対する第一印象は、「しっかり者の頑張り屋さん。読書好きのインドア派かな?」でした。卒業研究では、スマートグラスを用いた本人認証アプリを開発していただきました。高いプログラミング能力を必要とする研究でしたが、山田さんは粘り強く研究に取り組まれ、完成度の高い立派なアプリを完成させました。スマートグラスとアプリとの連携に行き詰ったことがありましたが、そのときには、スマートグラスを開発した企業を訪問し、先方の技術者と意見交換を行うことで、見事に壁を乗り越えられました。プライベートでは、某テーマパークをこよなく愛しているようで、「オンとオフの切り替えができる人」という一面も見せてくれました。セキュリティを生業とすることは、強い使命感がないと務まりませんが、「山田さんなら大丈夫」と思っています。今後の山田さんの益々のご活躍に期待しています。

工学院大学は、136年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。
次回の卒業生インタビューもお楽しみに!

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