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楽に筋力アップで運動不足を改善! ゆっくり伸ばして エキセントリック体操

皆さんは1日にどのくらい運動をしていますか?世界保健機関(WHO)の調査によると、世界中で約18億人が運動不足とされており、およそ4人に1人が日常的に十分な運動が出来ていない状況です。生活が便利になるにつれ、歩行量や階段などの使用頻度が低下していることが一因と考えられています。

20代の頃の筋肉量を基準にすると、30歳以降は1年間で1%ずつ筋肉量が減少していくとも言われています。筋肉を動かすと脳が刺激され、ストレス発散や意欲・自信につながるほか、免疫機能も高まり、病気に対する抵抗力が増します。筋肉を刺激する運動はまさに「良薬」です。

ー楽に筋力アップ「エキセントリックトレーニング」

「筋トレ」と聞くとプランクや腕立て伏せなど、エネルギー消費の高い動きをイメージする人も多いのではないでしょうか?
身体を動かす時は筋肉が伸び縮みしており、ダンベルを持ち上げる・階段を登るなどのエネルギー消費が高い動きは「コンセントリック」と呼ばれ、筋肉が縮みながら力を発揮している状態です。反対に筋肉が伸ばされながら力を発揮する動きを「エキセントリック」と呼び、ダンベルをゆっくり下げる、階段をゆっくり降りるなどの動作があります。

本学で運動生理学を研究する桂良寛准教授は、「エキセントリック体操」を提案しています。桂先生の研究によると、コンセントリック運動を行ったグループに比べ、エキセントリック運動を行ったグループのほうが、筋力・筋肉の厚み・バランス力ともに増加量が高く、中性脂肪や悪玉コレストロールといった指標も改善されやすいことが分かりました。エキセントリック運動は、比較的ラクに効率よく筋力を増加でき、健康な体を保つ上で非常に効果的な運動なのです。

※ただし、エキセントリック運動は筋繊維に多くの負荷がかかるため、やりすぎてしまうと筋肉痛が発生します。適度な運動量を心がけ、徐々に強度を上げていき、筋肉痛を予防しつつトレーニングしていきましょう。

今回は、運動不足の人も挑戦しやすいエキセントリックトレーニングを集めました。まずはこちらの動画をご覧ください。

とてもリズミカルでテンポが良い動きでしたね。ここからは、動画に出てきたトレーニングを詳しく解説していきます。

ふくらはぎを鍛えるトレーニング

ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、血液を心臓に送り返す役割を果たしており、鍛えることで全身の血行が促進され、冷え性やむくみの改善、浮腫の予防が期待できます。

かかと下げ〈初級〉

ふくらはぎの筋肉がゆっくりと伸ばされて強くなり、バランス機能が向上します。

〈方法〉
① 足は腰幅に開き、両足のふくらはぎに力を入れながら、しっかりとかかとを上げる。
② 片足立ちになり、ふくらはぎのちからを抜かずに、5秒かけてゆっくりとかかとを下ろす。上げている方の足も地面につける。
※注意点※ 
かかとが地面にしっかりとつくまで、ふくらはぎの力を抜かないようにしてください。

腹筋を鍛えるトレーニング

腹筋を鍛えることによって、「コア」と呼ばれる身体の中央部分(腹部や腰部、背中の下部を含む筋肉)が強化され、姿勢の改善や腰痛の軽減に大きな効果があります。また、強い腹筋は呼吸機能を深めたり、身体の回復をサポートしたり、消化機能の向上も期待されています。

お腹のばし〈上級〉

腹筋がゆっくり伸ばされて強くなり、体幹が安定して、スムーズに動けるようになります。

〈方法〉
① 足を体育座りにして手は膝の上におく。
② 目線はおへそを見ながら、おなかの力を抜かずに、5秒かけてゆっくりと身体を倒していく。
③ 肩甲骨が地面についたら力を抜いて、横向きになって起き上がる。
〈回数の目安〉
10~15回を1セット/1日に2、3回

太ももやおしりを鍛えるトレーニング

お尻や太ももの筋肉は、階段の上り下りなどの日常的な動作に重要な役割を果たしています。おしりの筋肉である大臀筋や太ももの筋肉である大腿四頭筋は、体の中でも特に大きな部分を占める筋肉郡であり、トレーニングすることで、全体的な代謝率を高め、体重管理や病気の予防に効果的です。

椅子すわり〈初級〉

楽にできるようになったら、回数を増やしたり、両手を頭の後ろで組み、負荷をかけて行ってもよいでしょう。

〈方法〉
① イスの前に立ち、足は腰幅よりも少し広めに開く。つま先は外に向け、両手はクロスさせて前で組む。
② 太ももとおしりの筋肉にしっかりと力をいれた状態で、おしりを突き出しながら5秒かけてゆっくりと椅子に座る。
③ おしりがイスの座面についたら、全体の力を抜き、ゆっくりと立つ。
※注意点※ 
座る際、おしりが座面につくまで、おしりや太ももの力を抜かないようにする。
〈回数の目安〉
10~15回を1セット/1日に2、3セット

階段下り〈応用〉

階段をゆっくり降りることで、太ももやお尻の筋肉が強くなります。日常生活に取り入れるのもおすすめです。

〈方法〉
① 階段を降りる際、太ももの筋肉の力を抜かずに足をつけて、いつもよりひざを少し深く曲げる。
② 階段を下るペースは1秒に1段。
※注意点※ 
慣れるまではてすりを使用して、足元をみながら降りる。

ジャンプスクワット〈上級〉

ジャンプした勢いを利用して、太ももやお尻の筋肉に強い負荷をかけます。下半身をより強くしたい人におすすめです。

〈方法〉
① 足は腰幅よりもやや広めに開き、手をクロスさせて前で組む。
② スクワットをする要領で、ひざを軽く曲げ腰を落とし、太ももとおしりの筋肉にしっかりと力を入れる。
③ そのまま垂直にジャンプし、太ももやおしりに力を入れたままゆっくりとスクワットをする。
④ ひざに手をついてゆっくりと体を起こす。
※注意点※ 
この体操は負荷が強いので、ある程度運動経験がある方にはおすすめですが、膝や腰に痛みがある場合はやめておきましょう。

運動不足を感じる時、勉強のあとに息抜きしたい時、家族で一緒に運動したいとき、エキセントリック体操を試してみてはいかがでしょうか?

〈参考文献リンク〉

工学院大学のYoutubeチャンネルでは、Action!をキーワードに、研究活動や課外活動の様子を発信しています。ぜひご覧ください。