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産業界への技術移転を目指す エンジニアの卵たちの挑戦

8月22日、23日に東京ビッグサイトで開催された「大学見本市2024-イノベーション・ジャパン-」は、産業界のニーズと大学のシーズをマッチングする国内最大級のイベントです。

全国の大学から厳選された281件の特許取得技術(申請中含む)が集まるこの場所に、本学は4件の研究成果を公開しました。

研究の成果は、教員、大学院生、そして学部生の連携によって初めて実現します。大学院生は学部生を指導し、その学部生がやがて大学院生となり、次の世代を育てる。こうした循環の中で、研究は日々進化し、新たな成果が生まれているのです。工学院大学は、社会に貢献する技術を生み出すとともに、次世代を担う学生の育成を重要な使命としています。

今回のnoteでは、エンジニアの卵である学生が企業担当者との対話を通じて成長する姿をお届けします。

田中久弥研究室で説明に立った大学院生は、特許申請書類に教授と共に名前が並ぶ実力者。
企業に製品化してもらおうと、熱意ある説明が続きました。

考案技術の独自性を発信!熱意溢れる展示説明


今年は2日間で約11,000名が来場した大学見本市。長く展示会に携わる担当者が「過去最高の来場者数では?」と会場で感じるほどの賑わいでした。

所狭しと新技術が立ち並ぶ会場の様子

本学出展はこの4件です。

PM2.5粒子の同位体識別個別粒子イメージング分析装置
先進工学部 応用物理学科
坂本 哲夫教授

加工ひずみを考慮した 高精度な加工前寸法決定システムの構築
工学部 機械システム工学科
小川 雅 准教授

低屈折率・低反射率・高透過率の フレキシブルフィルムヒーター
先進工学部 応用物理学科
永井 裕己 准教授

耳脳波を日常計測できる電極
工学研究科 情報学専攻
田中 久弥 教授

企業との対話を通じて得た学生たちの成長


各ブースでは、教員が企業担当者に研究成果を説明していましたが、教員説明を待つ列ができたため、学生たちが概要を説明しました。

初日は、初めて展示会に足を踏み入れた学生が多く、緊張の面持ち。各社で実務に携わる担当者からの鋭い質問に戸惑う様子が見られました。しかし、次第に想定外の質問に落ち着いて対応できるようになり、徐々に自信をつけて積極的に声をかけていきます。学部4年生の説明を大学院生が側でサポートし、質疑応答後にフィードバックを行うなど、学生同士の協力体制は自然に充実していきました。

永井研究室は、大学院生と学部4年生計4名が休む間もなく説明する人気ぶり。
小川研究室所属の学部4年生は、初日に先輩からのアドバイスで大きく成長し、
2日目には堂々と説明。
坂本研究室の出展は、物理学、電気電子工学、情報学の融合成果。学生たちは説明の合間に他大ブースを見学し、リサーチ結果を研究室メンバーに共有する様子が見られました。

参加した学生のコメント(一部抜粋)

ゼミや学会では「これまでの成果」を発表しますが、展示会では「これからの可能性」を伝えることが重要だと感じました。多様な業界の方々と対話しながら、社会課題と解決策をつかみ、その中で自分の研究がどのように役立つかをイメージしてもらう必要があります。そのためには、事前に既存の解決策を調査し、オリジナルの考案技術と比較して強みや弱みを明確にすることが重要だと思いました。初めは説明することで頭が一杯でしたが、企業のニーズと自分の研究が交わる点を見つけるためには柔軟な議論が必要と実感しました。

来場者から、「実用化に向けての課題」や「成果の利点」について多くの質問を受け、材料のコスト面など開発者目線の意見もいただきました。 これにより、「自分の技術を企業にどうアピールすべきか」や「企業が重視する点」を考えるきっかけとなり、 研究の初心に立ち返る良い機会になりました。

様々な業種の方々と直接会話し、組織が抱える課題や貴重な情報に触れ、大変学びの多い経験となりました。自分のアイデアを企業にアピールできたことで、研究への意欲がさらに高まりました。

社会と産業を結ぶ、未来への一歩


イベントは終了しましたが、出展した4つの研究室は、共同研究を希望する企業からの依頼を受け、次のステップに向けて動き出しています。技術の活用方法は企業ごとに異なるため、各研究室は複数の企業と面談し、詳細を確認していきます。
10月には、コングレスクエア羽田(東京都大田区)、幕張メッセ(千葉市)、ポートメッセなごや(名古屋市)での展示会に出展予定です。
多くの企業との出会いが、エンジニアの卵たちの心に火をつけ、科学で社会に貢献する人材へと育っていきます。

なお、本学HPでもイベントの様子がご覧いただけます。ぜひご確認ください。