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卵の殻が電子機器の素材に?技術革新に挑む電気電子工学科 相川研究室

工学院大学


高機能デバイスは、スマホや半導体にも使われている回路基板など、私たちの便利な生活に欠かせません。最近は、環境に配慮した技術革新であることも重要です。今回は、電気電子工学科の高機能デバイス研究室(指導教員:相川慎也准教授)での研究生活に焦点をあてインタビューしていきます。

■学生プロフィール      *学年は2022年3月当時
・森 健太郎さん:学部4年生。「Let’s 使い捨てプラ・食品ロス削減(主催:東京都環境局)」で登壇
・渡辺 幸太郎さん:修士1年生。電気学会 技術委員会奨励賞
・川口 拓真さん・野寺 歩夢さん:共に学部4年生。大学コンソーシアム八王子 学生発表会 準優秀賞

卵の殻が電子機器の素材になる?


―森さんは、卵殻膜を利用した、環境にやさしい柔軟な回路基板の作製を提案しました。改めて、発表内容を教えてください。

森さん:
ゆで卵の殻をむくと、白くて硬い殻の下に薄い半透明の膜がありますね、あれが卵殻膜です。僕は飲食店でアルバイトをしていて、毎日廃棄される大量の卵の殻を「何かに使えないかな?」と思ったことがきっかけです。
卵殻膜の活用は化粧品や医療品などではあるものの、電気系では無さそうだったので、挑戦してみました。特殊な顕微鏡や測定器で実験した結果、卵殻の膜の表面は、繊維が交差した網目のような構造をしており、特殊なインクに浸すと電気を通す性質(導電性)を持たせられることが分かりました。将来、回路基板の代替として活用が見込めるのではないかと考えています。

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森さんが、光学顕微鏡で卵殻膜を観察している様子。

​―「大学コンソーシアム八王子 学生発表会」で発表した際、八王子市長から提案されて、東京都環境局主催「Let's 使い捨てプラ・食品ロス削減」でも発表されました。当日はいかがでしたか?

森さん:
様々な取組の中から、自分の研究に目を止めてくださったことが嬉しく、都環境局が主催する会に誘っていただき光栄でした。コロナ禍で何かと制限がある時期でしたのに、八王子市長と対面でお話しできたことも印象に残っています。
「Let’s 使い捨てプラ・食品ロス削減」はオンライン開催で家から参加したため、あまり緊張しませんでした。各自の取組を発表後、一対一で質問に答える流れで異なる分野の方々と意見交換しました。この4月から社会人ですが、研究をしっかりと後輩に引き継ぎたいです。対面で環境問題を幅広く話せる機会が増えると活用分野やSDGs関連など広げられそうで、楽しみにしています。

「Let‘s 使い捨てプラ・食品ロス削減」で発表する森さん


―渡辺さんは、学外発表で大きな成果を得ています。2021年度の発表内容と学会のオンライン開催の様子を教えてください。

渡辺さん:
私はSnO2(酸化スズ)を使った研究です。薄膜の結合状態と電気特性への影響を探りました。きっかけは、学部2年生で参加した産学連携イベント「イノベーション・ジャパン」です。企業の方からニーズを聞き、半導体に興味を持ちました。
2021年度に私が参加した学会発表は、オンラインで7件、会場開催は2件でした。会場開催の場合は、追加の質問や説明の補足ができ、他大学の研究者との交流は研究を考える大きなヒントになります。2022年度は修士2年生として国際学会に参加予定で、論文執筆中です。

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学会関係者パスは、視界に入るたびに気が引き締まります。


―高機能デバイス研究室では、他にどのような研究をしていますか?

相川先生:
新しい材料を用いて、環境にやさしい、高性能・高機能なエレクトロニクス(機器に組み込まれる半導体や小さな電子部品)デバイスを開発することが、大きなテーマです。
具体的には①酸化物薄膜トランジスタの開発、②スマートフォンのタッチパネルなどの、透明な導電材料の開発、③太陽電池の開発、の3つを軸に研究しています。1つに絞ると行き詰ることがあるので、あえて固めないようにしています。先輩の研究を受け継ぐ縦の流れは緩いグルーピングで、横の関係も入れる雰囲気を心掛けています。森さんの研究では、日常の疑問と結びついてある程度形にできました。素朴なものごとを気軽に相談できる環境になっていてよかったと思っています。

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興味が湧いたら、この扉を叩いてください。

逆転の発想や国際学会発表で新たな道を切り拓く


―「大学コンソーシアム八王子 学生発表会」では、川口さん・野寺さんが
準優秀賞を受賞しました。お二人は、どのようなことから電子工学に魅力を感じていますか。

川口さん:
父が電気施工管理の仕事をしており、自然にこの分野を選びました。ディスプレイに興味があり、「スマホ作れたら面白いな」と思い研究室を決めました。スマートフォンには多くの材料が使われていて、その中で半導体は薄い膜として使われています。私は、薄膜を作るのに、金属に窒素をしみこませる窒化の適した条件を探っています。色々なかけ合わせがあるのが面白いです。4月からは大学院で研究を続け、7月には国際学会に参加する予定です。

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川口さんが多く使う装置「管状アニール炉」

野寺さん:
中学生の時から工学全般に興味があり、送電に注目していました。そんな時、相川先生の授業で、マイクロプロセッサー1つに10億個以上のトランジスタが詰まっていると聞き、強いインパクトを受けました。「もっと良いトランジスタを作ってみたい」「発展技術をどう活用すれば良いか」と考え、考案したものが商品として直結しやすいのが、この分野の魅力でしょうか。私も大学院でこの研究を深掘りします。

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野寺さんは、この成膜装置で新しい半導体薄膜を作っています。


―私たちに身近なところで、最近話題のことはあるのでしょうか。

相川先生:
2015年の国連サミットでSDGsが採択されました。日本では、2050年までにカーボンニュートラルを実現すると宣言されましたね。この目標達成に電子機器の省エネ化・グリーン化は必須です。
そのために、半導体チップをより高性能・高機能にする微細加工が必要になり、クリーンルームは必須。小さなホコリが入り込むだけで、動作に影響を与える繊細なものですから。本学には本格的なクリーンルームが整備されていて、アイデアをすぐに形にできるのですごく助かっています。学部や学科を超えて異なる分野の研究室と共用していると、課題解決に役立つ思いがけないヒントが得られることも魅力です。
野寺さんの薄膜トランジスタを使ったCO2センサーも、社会との関係がイメージしやすいでしょう。もともと様々な雰囲気に対して安定な半導体材料を作ろうとしていた過程で、CO2に反応するトランジスタが出来てしまった。出来たものは当初の目的とは異なりますが、「では環境・農業・医療の現場でCO2検出に使ったら?」と逆転の発想をしたのが研究の始まりでした。今後、さらなる検出感度向上を目指して開発を進めています。

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―環境問題の解決策として、電気電子工学分野の発展が不可欠なのですね。高機能デバイス研究室の皆さん、貴重なお話をありがとうございました!

今後もさまざまな発表・受賞した学生から、普段の研究生活について不定期インタビューしていきます。次回の更新をお楽しみに!


工学部電気電子工学科 高機能デバイス研究室

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