見出し画像

限定500本 東京産ハチミツビール誕生の物語

みつばちプロジェクトとScience Create Projectの学生たちが、京王電鉄株式会社、武蔵野市のビール醸造所「26Kブルワリー」とともにオリジナルビール「せいせきHONEY ALE」を500本限定で企画・製品化しました。
このビールには、みつばちプロジェクトが八王子キャンパスで採蜜したハチミツが使われています。

まずはこちらの映像をご覧ください!

今回の記事では、「せいせきHoney ALE」が生まれるまでの物語と、4月に『KEIO 春のビールまつり』で販売した時の様子をお届けします。

せいせき HONEY ALEができるまで

昨年、京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターで、みつばちプロジェクトのハチミツを使ったオリジナルグッズを販売したことが、今回のご縁。

昨年、京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターで入浴料、ハンドソープ、ハンドクリームを販売

京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターでビールフェスを新しく立ち上げる際に、担当の方が「多摩の特産品を使ったビールで地域を盛り上げたい」と声をかけてくれました。

学生たちはその想いに共感し、八王子キャンパスで採蜜したみつばちプロジェクトのハチミツを使い、地産地消のビールを限定醸造することになりました。

1. ターゲット層を決める

2022年の冬から、プロジェクトが本格的にスタート。学生たちと関係企業で集まり、ビールのコンセプトを考えました。まずはターゲット層を決めるところから始まりました。
プロジェクトに関わった学生の多くはお酒に詳しくありませんが、それを逆手にとって、普段飲み慣れていない人でもおいしく飲めるビールを目指すことにしました。具体的なターゲットは、25~35歳の若者、会社員、主婦に決めました。

2. ビールのスタイルを決める

次に、ビールのスタイルを知り、選ぶ作業。ピルスナー、ペールエール、ホワイトエール、IPA、スタウト……一括りにビールといっても、種類によって材料や醸造方法に違いがあり、味、香り、飲みごたえは様々です。

ブルワリーの方にそれぞれの特徴を教わり、ハチミツに合いそうなスタイルを話し合いました。まずは、お酒になじみがない方でも飲みやすいペールエールとホワイトエールに絞りました。

どちらも飲みやすいスタイルのため、最終的にどちらにするか、時間をかけて考えました。ホワイトエールの口当たりの軽さに魅かれる学生が多い一方、軽すぎて一本で満足できる仕上がりになるか、心配する声も。
そんな中、ブルワリーの専門家から「麦の焙煎を通常より少し深くすることで、ホワイトエールでも飲みごたえをアップできる」と提案がありました。ホワイトエールの飲みやすさを活かし、飲みごたえにも妥協しないビールを目指すことに決まりました。

消費者の視点で、それぞれが感じたことを率直に話し合いました

3. 副原料を選ぶ 

2の作業と並行して、ビールとハチミツに合う副原料を探しました。にんじん、 桜の花、ヨーグルト……などなど、学生たちからさまざまな変わり種もアイディアとして出てくる中で、下記の4つが最終候補として残りました。

<副原料の候補>
・パッションフルーツ
・紅茶
・しょうが
・レモン


それぞれの材料を持ち寄り、市販のビールに入れて試飲。副原料として使用したときにどんな味になりそうか、イメージを膨らませました。好評だったのは、紅茶とパッションフルーツ。テイスティングと話し合いを重ね、最終的には、ハチミツの香りをより引き立ててくれる紅茶を副原料に選びました。

副原料をビールに入れてテイスティング。未成年はノンアルコールビールで試しました。

4.  ビールレシピ完成!

学生の希望を取り入れながら、ブルワリーの専門家に全体のバランスを調整していただき、飲みやすくそして少しめずらしいビールのレシピが完成しました。

◆ビールレシピ
・スタイル:ホワイトエール
・原料:麦芽(イギリス製造)、紅茶、はちみつ、ホップ、オレンジピール、コリアンダー/炭酸ガス

◆仕上がりイメージ
・柔らかな口当たりとフルーティーな香りのホワイトエールをベースに、香ばしい焙煎麦芽と程よいアルコール感を加え、飲み終わりの満足感を演出。思わずもう一口飲みたくなるような、1本で充実感を得られるビールです。
・はちみつ由来の香りはビールを飲み込んだ際に仄かに優しく広がります。
・紅茶は渋みよりも香りにフォーカス。ホワイトエールのフルーティーな香りと合わさり、フルーツティーのような香りが程よく広がります。

5. ビールの醸造

3月中旬には実際にビールの醸造を体験。1日かけて、麦汁づくりや副原料の投入などを行いました。ブルワリーの専門家が、温度や時間を緻密に管理し、品質に真摯に向き合う姿から多くの学びがありました。

武蔵境にある26Kブルワリーは高架下3坪の醸造所。カフェが併設されているおしゃれな空間です

■麦芽の粉砕(ミリング)
まずは、ビールの原材料である麦芽を専用マシンで砕きます。ホワイトエールの場合は、通常よりも未発芽の小麦を原材料に多く使用しています。
※撮影のため、屋外で作業を行っています。

大量の麦を専用マシンで砕きます!

■麦汁の生成(マッシング)
大きなタンクで麦芽を煮出してビールの素となる「麦汁」をつくります。麦のでんぷん質を糖に変えます。

■ホップの投入
麦汁を煮沸する工程で、ホップを加えます。ホップは植物の一種で、ビールの苦みづけ、香りづけに使われます。今回は苦みが強くならず香りが残るように、専門家の管理の下、煮沸作業の後半で学生たちが投入しました。

当日、生ホップを試食させてもらいました。
刺激的な香り、風味に学生たちも驚きを隠せません。

■副原料の投入
ついに、みつばちプロジェクトがキャンパスで採蜜したハチミツを入れます!全員で少量ずつ、大切に投入しました。
そのまま食べると甘いハチミツですが、発酵の過程で酵母の働きによって糖分が分解されるため、完成したビールでは甘さはほとんど消え、香りだけが残りました。

オレンジピールやコリアンダーシードも入れ、香り豊かに。投入のタイミングや温度は慎重に管理されていました。

6. ラベルデザイン

ラベル作りも学生たちが担当しました。どんなデザインなら手に取ってもらえるか、いくつも候補を出し試行錯誤しました。美術を専門に学ぶ友達にイラストを描いてもらい、ハチミツと紅茶を連想させるかわいいパッケージが完成しました!

500本のビール瓶にラベル貼り!全員が集中してあっという間に終わりました

ビールまつりで500本完売🎊

4月20日(木)から4日間、京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンターで開催された『KEIO 春のビールまつり』で、完成したばかりのビールを限定販売しました。

完成した「せいせき HONEY ALE」 

ドキドキの初日は……
17時の販売開始から、列ができるほど多くの方が足を運んでくださり、2時間足らずであっという間に当日分80本が完売しました。

2日目以降も順調に売り上げ、4日間で500本すべてが完売しました!
地元の方をはじめ、卒業生の方や大学の関係者も足を運んでくださり、改めて多くの方に注目、応援していただいていたことを実感しました。

店頭では学生たちが、ビールができるまでの過程やオリジナルビールの魅力を来場者に伝えました。

販売ブースでの接客の他、ビールまつりメイン会場の来場者誘導などにも協力しました

さらに、イベント3日目には「せいせきビール完成イベント」が京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター内で行われました。みつばちプロジェクト、Science Create Projectの代表学生が登壇し、オリジナルビールの製造過程や魅力を語りました。イベント後には、多くの方が販売ブースに立ち寄ってくださいました!

イベント後半は、じゃんけん大会で大盛り上がり!
最後まで勝ち残った参加者の方に「せいせき HONEY ALE」がプレゼントされました

オリジナルビールを多くの方に手に取っていただいた4日間となりました!ご来場いただいたみなさま、応援してくださったみなさま、ありがとうございました。

2018年にハチミツを使った入浴料から始まり、昨年はハンドソープ、そして今年はビールを開発した学生たち。次はハチミツを使ってどんなものづくりを行うのでしょうか?今後も活躍が楽しみです!

みつばちプロジェクト代表 山田 愛未さん(応用化学科3年)コメント
SEISEKI HONEY ALEの企画・醸造・販売を通して、モノづくりのプロセスや商品として人々の手に渡るまでの過程を学ぶことができました。
販売時にお客様からお声かけいただくことが多く、商品を通じてミツバチや蜂蜜に興味を持っていただけたことに喜びを感じました。
普段の大学生活では経験できない貴重な体験をさせていただき、関係企業の皆様に感謝申し上げます。

Science Create Project代表  川橋 倫さん(応用物理学科3年)コメント
ビール企画から販売までのプロセスを通して、実際に商品開発に関わる企業の方々とともに、大変貴重な社会経験をすることができました。
特に醸造体験は大人になっても滅多に機会がない貴重な経験で、友人たちとのものづくりは記憶に残る楽しい時間になりました!
最後になりますが大変お世話になりました。関係各所の皆様に感謝申し上げます。


この記事が参加している募集