エジソンが切り拓いた「電気」を体感してみよう!はじめての電気電子基礎実習
私たちの便利な生活に欠かせない「電気」。電車で移動し、スマホで音楽を聴き、パソコンで授業を受ける‥ごく当たり前の日常の裏側では、電流や電圧、電気回路など、さまざまな電気理論が働いています。それぞれどのような仕組みで動いているか、意識したことはあるでしょうか?
電気電子工学科1年生の授業「電気電子基礎実習」では、電気を使った8つの実習を行います。大学には、「電気磁気学」「電子回路」など高度な専門授業が沢山あります。「電気電子基礎実習」では、まずは電気を体験することで、さまざまな現象への理解を深め、学問への橋渡しをします。
電気エネルギーの変換と電力
今回潜入したのは電気エネルギーの変換と電力の実習。電気エネルギーを使ったいくつかの実習を経て、電力を身近に感じることを目的としています。初めにテスターという回路計測器を使い、太陽電池の電圧・電流を計測します。屋内・屋外それぞれで計測し、太陽光の強さによって電力発生量が大きく変わることを体感しました。
実習で訪れた八王子キャンパス10号館の屋上には、太陽光と風力のハイブリッド発電システムがあります。ここで作られた電力は、10号館入口のメータで確認することができます。この日は強風・快晴。約15Wの電力が発生していました。
続いて、10号館にある大規模設備を用いて、小さな雷を目の前で体験する実習です。昨年リニューアルした「高電圧発生装置」を使います。
私たちが日常生活で使用する電圧は100 V~200 Vほど。この高電圧発生装置は、その約1000倍にもなる、最大20万ボルトの高電圧を発生させることができる装置です。コンピュータで制御されており、マウスをクリックするだけで、電圧が発生します。
高電圧発生装置は社会でも実際に、電気安全にかかせない電力設備や電気設備の高電圧試験に使われています。絶縁物が破壊する電圧や、落雷の時の接地抵抗(電気の通りにくさ)を調査することで、私たちが電気製品を安全に使うことができます。本学では新宿キャンパスにも同じ装置があり、高学年の実験や大学院生の研究に活用されています。
今回の実験では、実際に「雷インパルス電圧」という、小さな雷のような放電を発生させ、その電圧の大きさを体感しました。パソコンで設定した雷インパルスの充電電圧は、約4万5000ボルト。電気がたまると、「パーン!」という大きな音と光とともに、落雷が発生しました。
最後に、銅線とニクロム線を使った安全電流の実習です。銅線は電流を通しやすく、一般的な電線に使われます。一方でニクロム線は電流を通しにくく、電流を通すために多くのエネルギーを必要として熱を発します。この熱は、電気ケトルやオーブントースターの加熱に使われています。
実験では、スライダックとクランプ電流計を使い、電線やニクロム線に流すことができる電流の許容値(安全電流)を確認しました。
電線(銅線)に流す電流を上げていくと、電線が赤く光り、一瞬で焼き切れてしまいました。一方でニクロム線に同じ電流を流すと、焼き切れずに熱を発して赤く光ります。この状態で発砲スチロールを試し切りし、赤く光るニクロム線の発熱量を体感しました。
最後に受講生は実習の結果をレポートにまとめ、研究にはかかせないレポートの書き方、仮説検証の仕方を学んでいきます。
「電気電子基礎実習」は、数名ずつの班ごとに、ローテーションで別の実習に取り組みます。当日、電気エネルギー実験と別の班は、それぞれ5号館3階の電気実験室で別テーマに取り組みました。
今後の実習では、ゲルマニウムラジオや、太陽電池・燃料電池自動車の組み立てと測定を行う予定です。
学期の最後には、班ごとに国立科学博物館に見学実習に行きます。(工学院大学の学生は、学生証の提示で無料で入場することができます!)
今から約150年前、エジソンが電球を発明して以来、電気を利用した技術は大きく発展を続けてきました。電気が私たちの暮らしに与える影響や、電気技術の進歩がもたらす可能性は、これからも広がり続けます。
工学院大学 電気電子工学科では、くらしに役立つ電気電子を専門的に学び、幅広い領域で活躍する技術者の育成を目指しています。
工学院大学noteでは、さまざまな授業の様子をレポートしています!ぜひご覧ください。