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建築物の安全性をチェックし、東京都民の生活を守る

工学院大学の建築学専攻を修了し、東京都庁の職員として働く齋藤絢香さん。学生時代は常に教室の一番前に座って授業を受けていたそうで、「日々の勉強の積み重ねが将来につながった」と言います。現在も日々の業務と並行して一級建築士の資格取得をめざす齋藤さんに、仕事のやりがいと大学時代の印象的な経験についてお聞きしました。

東京都庁
都市整備局 多摩建築指導事務所 建築指導第二課 齋藤 絢香さん

入都4年目 / 建築職 / 建築学部建築学科卒業 / 工学研究科建築学専攻修了 / 建築生産 遠藤(和義)研究室(指導教員:遠藤 和義 教授) / 趣味:お菓子作り、運動、硬式野球部マネージャー
                  ※掲載内容は取材当時のものです。

Q1.東京都庁ではどのようなお仕事をされていますか?

平成31年4月に入都し、東京都都市整備局第二市街地整備事務所で3年間、第二種市街地再開発事業に携わり、現在は東京都都市整備局多摩建築指導事務所で建築指導の業務に従事しています。商業施設や住宅などの建築物が法律をきちんと遵守しているかをチェックし、都民が安全な生活を送ることができる街をつくるのが私の役割です。

Q2. 現在の職業を選んだ理由は?

就職活動の際にさまざまな職種の説明会に参加しましたが、設計、工事、ビル管理などプロフェッショナルを育てる職種は、建築分野を幅広く学びたい私の希望とは異なると感じました。ひとつの分野を極めるよりも、さまざまな分野で活躍できるジェネラリストを目指したいと思っていたところ、指導教員の先生から「公務員が向いているんじゃない?」とアドバイスをいただき、職種の選択肢が多い公務員を志望しました。なかでも東京都の公務員は、都市計画や建築指導など大規模な仕事に携わることができることも大きな魅力でした。

Q3. 仕事のやりがいや魅力は?

東京都で生活する方の安心・安全な暮らしを守っていると実感できることが一番のやりがいです。また、今年度からは初めて建築指導の業務に携わっているので、日々知識が増えていくことに楽しさを感じています。

Q4. 現在の仕事で大変なことはありますか?

日頃から、住民の方や建築を専門としている方などさまざまな方から建築基準法についての問い合わせがあります。回答にあたっては法令や条例の解釈で悩むことが多いですが、知識や経験が豊富な上司や同僚などに相談するようにして、日々の業務を乗り越えています。建築基準法の話は複雑になることも多いですが、できる限り丁寧に説明することで、理解していただけるよう心がけています。
また、建築物を建てる申請の際には、図面が適法に書かれているかをくまなくチェックし、実際の建築物が図面通りに施工されているかどうかを完了検査で確認します。こうした業務は街の安全に直接関わるため、責任も大きいですがやりがいを感じます。

Q5. 現在の仕事で必要と感じている知識や考え方は?

建築基準法や関係法令に関する知識は必要不可欠です。私は昨年から一級建築士の資格取得を目標に勉強に取り組んだことで、基礎知識を習得することができました。
また窓口や電話での対応も多いので、さまざまな方にわかりやすく建築基準法について伝えるための接遇能力や説明力の必要性を感じています。

Q6.大学時代、印象的な授業や役に立った授業があれば教えてください。

在学中に幅広い分野の講義を受講し、基礎知識を習得したことで、新人職員だったころから業務内容をスムーズに理解することができました。また、1年目から3年目は、工事や再開発が業務の中心になっていたため、都市開発や施工に関する授業で学んだ知識がとても役に立ちました。一級建築士の勉強をしている現在も、幅広い分野の知識が問われるため、学生時代の授業で学んだことをよく思い出しています。

Q7. 仕事の中で、大学で学んだことが活かされていると思うことはありますか?

大学3年次にイギリス留学を経験しました。留学期間中は建築学科の先生が実際に現地まで来てくださり、ヨーロッパの建築の構造やディティールについて詳細にお話いただけたのが印象に残っています。海外の都市や建築を生で見た経験は、現在の建築に関する業務全般に生きていると感じます。

Q8. 就職活動のときに意識したことは?

大学時代は常に一番前に座って講義を聞き、授業が終わったら復習をするようにしていました。そうした日々の勉強の積み重ねが、公務員試験合格にもつながったと感じています。公務員試験は民間企業のようにエントリーシートを何枚も書いたり、個性をアピールすることが少ないので、一見地道にも思える勉強が一番の近道だと思います。

Q9.工学院大学を卒業してよかったと思うことは?

工学院大学の建築学部では、建築分野の幅広い知識を1、2年次で学び、3年次から建築学科、まちづくり学科、建築デザイン学科の3学科に分かれるカリキュラムになっています。入学当時は漠然と将来について考えていましたが、1、2年次でさまざまな講義を受講したことで、将来やりたいことを見つけることができました。こうした選択肢の多さが、工学院大学の魅力だと思います。

Q10. 今後の夢や展望を教えてください。

東京都庁の建築職職員としての責任を持ち、これからも都民の安全を確保できるまちづくりに努めていきたいです。また、これまでの経験を生かして、都が目指すまちづくりの将来像の実現に貢献していきたいと思っています。

在学時を振り返って……建築学部 遠藤 和義 教授から一言💡
東京都庁は、世界でも有数の行政官庁です。本学新宿キャンパスと都庁は至近にあって、私も含め本学教員は、都庁の様々な活動と接点を持ち、その重要性を日頃から認識しています。齋藤絢香さんは、そうした巨大組織にやりがいを求め、難関を突破して希望通りこれまで幅広い分野でキャリアを積んでこられました。
在学中の齋藤さんは、硬式野球部のマネジャーとして、また研究室の様々な活動でも人間関係を大切にしていました。一方、学業成績も優秀で、採用試験に向けた準備に、数ヶ月にわたって、孤独に取り組んでいた姿も印象的です。個として突破する努力、加えて人間関係を大事にする姿勢は、TAなどの場面でもいかんなく発揮され、私も信頼して任せることができました。
今後も、たゆまない努力で、首都東京の行政を立派に担ってくれることを期待しています。

工学院大学は、135年の歴史の中で10万人以上の卒業生を輩出し、その多くがものづくり分野をはじめ、さまざまな業界で活躍しています。
先輩たちが歩んできた道を、将来を考える上での材料にしてみてくださいね。

次回の卒業生インタビューもお楽しみに!

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